内容説明
思いがけない隋の敗戦・滅亡は、聖徳太子にも大きなショックを与えた。太子は政治の第一線を退き、思索と著作に心を傾けていった。仏教経典の註釈書『三経義疏』をはじめ、わが国初の歴史書『天皇記』『国記』の編纂など、精力的な著作活動を続ける太子だったが、その立場は次第に孤立を深め、その心は絶望と虚無におそわれていく…。
目次
第4部 理想家の孤独(著作者への転向;『勝鬘経義疏』の思想;『維摩経義疏』の思想;『法華義疏』の思想;隋の滅亡;啓蒙史学の誤り;“日本”の成立;太子の最期;一族の滅亡)