内容説明
「ベレンコのように亡命したいって言っていたけれど、面白そうね。」ナビは抱きあった後、服を着ながら僕にそう告げた。亡命―この響きは僕を捕えて離さない。人は誰でも一度は、平凡な日々からの離脱を夢みる。あの日ベレンコ中尉が日本に亡命してきた。今、30歳を迎えようとしている僕の亡命劇はまだ始まってさえいない。…青春の焦燥をリリカルに描く長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寧々子
2
常に何か足りないと感じていた学生時代。周囲と同じ制服を着て、集会で一列に並ばされるのが嫌いだった。不自由はないのに息苦しかった。どこへでも行けるのに、閉じ込められている様な気がしてた。あの頃の私が好きだった本。思春期を思い出す一冊。★★★★☆2015/03/10
ぽっこ
2
この東京という所に暮らしていて、自由というものはなんなのだろう。自分の価値を認めてくれる環境が自由なの? 頑張るのは、勉強をするのは、全部他人に対しての見栄のために存在しているのか、なんだか結局わたしには生きる意味や意義があるのか、わからなくなるような話だった。2011/11/07
kuro
2
もやもやしたことをさらに抽象的にしてしまった本。悩んでるときに読んだらさらに悩んでしまう。「この国で自由じゃないなんて言ってる奴は才能だないだけだ」ちょっと頭を使って、アンテナをはってれば、意外となんでもできてしまうものだよね。あと、見栄を張るのをやめたくてホームレスになったって人にぞくりとさせられた。自分を磨くためとか言いつつ、人にいいかっこしたいだけだったりする。的を射ている。2011/08/15
__tangier
1
みんな、私を置いていってしまう 焦燥感 すごく好き2018/04/26
rubbersoul
1
「彼は口髭の間で口笛を吹いた。曲はビートルズのノーウェアマンだった」2018/04/21