集英社文庫<br> しょうがない人

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集英社文庫
しょうがない人

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  • サイズ 文庫判/ページ数 257p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784087480085
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

バイクの無免許運転で捕まった父を交番に引受けに向うぼく。豪胆を気取っていても本心は気弱で家族にやっかいばかりかける、しょうがない人―。そんな父親をうとましく思う反面、胸底には深い愛情を抱く息子のアンビヴァレンスな気持ちを軽快に描く表題作。「非のうちどころのない球形」のメロンをもとめて街を彷徨するぼくの、交錯する現在と過去の物語「メロンを買いに」。繊細で豊かな傑作作品集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mae.dat

153
4編の短篇からなる本書なんですが、全体的におどろおどろしい。真正面からおどろおどろしい訳では無いのですが、仄暗いと言うか、闇をね……もとい、心の病みを感じると言うか。『メロンを買いに』と言う話の構成はとても好き。日常をハレの行為に昇華しつつも、敢えて粗野な振る舞いをしてみたりね。メロンを買うと言う行為だけで、現在と過去と未来を結びつけたりね。でも、過去が暗くてね。書き直すよ。儂がもう少し、明るく楽しい話に書き換えますよ。表題作につながらなくなるからダメかしら?2021/03/25

SGM

20
★★★4篇(メロンを買いに、ミズヒコのこと、すれちがうだけ、しょうがない人)から成る作品集。私淑している原田宗典さんのさすがとしかいいようのない秀逸の作品ばかりでした。「すれちがうだけ」はバスとフェリーで居合わせた人を描いたものだが、余韻がとてもいい。なにか突飛な事が起こるわけでもない。ただ居合わせた、すれちがった人を描き、その背景を見事に想像させる。表題作も涙腺をじわりとさせる。オススメです。『あの時、父親は本当にぼくの父親でした。そしてぼくは、確かに父親の息子だったのです』(P240)2016/09/30

とも

15
原田宗典得意のエッセイではない、短編集。これは秀作。「メロンを買いに」大きな波は無いものの、原田さんの人柄が滲み出るほのぼのとした人間味溢れる自身の青年期を題材にした話。「すれちがうだけ」なんのオチも、山場もないけど、赤の他人を第三者の視点で観察する染み入る話。「しょうがない人」メロンを買いににも登場する原田さんの父親の話。人間臭く家族に迷惑ばかりかける、残念な父親ながら、キラリとカッコいいセリフをのたまうあたりは憎めない。いいね。2016/05/27

ゆうゆう

9
なんかほろりとする短編集。(個人の感想です。)親子の話って、なんか説明のしようがないというか、なんで切なくなるのかなぁ。どうしょうもないメロンへのこだわりや、どうしょうもないとわかっていても、父親が若造に無下にされるのはやりきれないとか、親子って…切ないなぁ。2018/07/22

シラド

8
再読。なぜか時々、読み返したくなる原田宗則さん。マハさん同様に優しい気持ちになれる。2014/11/03

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