内容説明
不景気、失業、政治への不信感、将来の不安、失われていく若さ、外からは見えない「こころの病気」…今の時代不安を抱かない人はいない。しかし、不安を感じることこそ正常ではないかと著者は説く。不安を受け入れることで、不安は希望になり、人を支えていく大事な力にもなる。今、誰もが抱える身近な不安をテーマに、不安を友として生きていく智恵を著者一流の論点で語りおろした希望の書。
目次
ぼくはこんなふうに不安を生きてきた
いま、だれもが抱える不安
「こころの戦争」に傷ついてしまう不安
若さが失われていくことへの不安
真に頼るものが持てない不安
時代にとり残されることへの不安
暴発するかもしれない自分への不安
働く場所が見つからない不安
病気と死の影におびえる不安
すべてが信じられないことの不安
本当の自分が見つからない不安
不安をより強く生きる力とするために
著者等紹介
五木寛之[イツキヒロユキ]
1932年9月30日福岡県生。放送作家や作詞家など多くの職業を遍歴。66年「さらばモスクワ愚連隊」で小説現代新人賞、「蒼ざめた馬を見よ」で第五六回直木賞受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
46
初読。2014年1136冊め。私も不安が悪とは思わない。いつも少し憂鬱で、不安があるから安らぎがある。2014/12/15
カピバラ
45
不安だらけの現代社会に対して、いろいろな事例を挙げながら、丁寧に「大丈夫」だよと言ってもらえるような一冊。不安があるからこそ、安心がある!確かにそうだな〜。2016/04/30
団塊シニア
36
健康不安、死への不安等抱えながら人はアンバランスな状態のなかで必死にバランスを取ろうとする、そして悲しみや絶望を知ってる人だけが本当の意味での喜びや希望を自分の手につかむことができるという筆者のメッセージは説得力がる。2013/02/21
きなこ
16
現代を生きる人はみな不安を抱えている。震災があってさらに私もまたいつ地震が起こるか、原発の問題も解決するのか、放射線の影響はないのかなど不安に思ってしまっている。しかし、この本の筆者は不安とは決してマイナス要因になるものではないと言う。むしろ不安を抱えることは人間らしさの証であり、人間的な希望を不安から見出すことができる…。なるほどと納得することばかり。私も自分の中の不安と向き合い上手く付き合って「不安の力」を培っていきたい。2013/10/02
柊子
15
「敏感に反応する柔軟な神経があればあるほど、沢山の不安を抱える。けれどその方が人間的で、優しくて愛にもあふれている」というのは判るのだが、でもやはり不安はない方がいい。不安の要素があったら、まずはとことん原因を調べ、克服のために闘いたい。それでだめなら、共存の道を選ぶけど。納得できる話も多かったが、共感しにくい話もいくつかあった。2018/08/18