内容説明
一九九七年、カナダ西海岸・ヴァンクーヴァー。中国への返還目前の香港から押し寄せる移民たち。そして黒社会。おりしも頻発するヘロイン強奪事件に華人マフィア同士の緊張が高まり、街には不穏な空気が流れていた。そのさなか香港黒社会の大ボスの愛娘・李少芳が行方をくらませた。探索を命じられた男・富永脩は一人、ヴァンクーヴァーに降り立つ。欲望と憎しみの悲劇の幕は上がった―。
著者等紹介
馳星周[ハセセイシュウ]
1965年北海道生まれ。横浜市立大卒。96年デビュー作「不夜城」で第一八回吉川英治文学新人賞、98年「鎮魂歌」で第五一回日本推理作家協会賞、99年「漂流街」で第一回大薮春彦賞受賞
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感想・レビュー
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W-G
269
ついに直木賞を受賞したそうで。既読作品の、面白かったものを読み返していこうと思う。まずは、バンクーバーを舞台にしたこちらの超大作。初読の時もかなりのめり込んだが、改めてみると、馳作品の中でも、随一と言っていいほどにエルロイ、特に『ビッグ・ノーウェア』と『LAコンフィデンシャル』の影響が色濃い。ハロルド加藤などは、もろにエド・エクスリーとダニー・アップショーの掛け合わせ。細かい内容はすっかり忘れたが、上巻の時点でなかなかに複雑なプロット。主役三人の交わり方が気になって、このまま一気に下巻へ。2020/09/03
アマニョッキ
50
馳星周さん直木賞受賞おめでとうございます! 受賞されると予想して、傑作の呼び声高い「ダークムーン」を読み始めておりました。香港の裏社会を描いたバチバチのノワール。普段こっち系をあまり読まないのですが面白い!全員悪人!この悪人たちがどこへ収斂していくのか、もう目が離せません。引き続き下巻へ。2020/07/17
keith
28
バンクーバーを舞台とした悪どい連中による暗黒小説。名前を覚えるのに四苦八苦しました。2015/11/15
Tetchy
19
本書の特徴と云えばこのハロルド加藤の存在だろうか。今までの馳作品は道を外れた者が現状に不満を持ち、いつか大金を手にして「ここではないどこか」へ逃げようと考えていたり、もしくは底辺で蠢くチンピラがのし上がろうとする登場人物ばかりだったが、ハロルド加藤は一代で財を成した貿易会社社長の息子で成績優秀な捜査官。しかも婚約者は次期下院議員候補の娘と、今後の将来も約束されたような男だ。そんな男が自身の心の闇に抗えず、堕ちていくところが今までの作品にはない設定だ。誰も清廉潔白ではない、皆がタブーを犯している。2012/09/29
りちゃ
14
舞台はバンクーバー。登場する人種は様々。序盤はイングリッシュネームに慣れず、ちょっと混乱。皆が徐々に追い込まれてくる…何かが壊れていく。何で余計なことに手を出すんだと、もどかしくなってくる。果たして、誰が生き延びるのか、それとも…。下巻へ。2017/11/15