内容説明
「わたしは腕に犬を飼っている―」ちょっとした気まぐれから、謎の中国人彫師に彫ってもらった犬の刺青。「ポッキー」と名づけたその刺青がある日突然、動き出し…。肌に棲む犬と少女の不思議な共同生活を描く表題作ほか、その目を見た者を、石に変えてしまうという魔物の伝承を巡る怪異譚「石ノ目」など、天才・乙一のファンタジー・ホラー四編を収録する傑作短編集。
著者等紹介
乙一[オツイチ]
’78年福岡生まれ。17歳の時、「夏と花火と私の死体」で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞し、デビュー。ファンタジー・ホラー小説界の若き俊英として活躍中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
215
独特の世界観と発想力。読後に残る切なさと暖かさ。乙一さんの力量を充分に味わえる短編集です。「はじめ」で最後に明かされる彼女が8年間消えたくなかった理由に胸が切なくなる。「BLUE」の献身と無償の愛。そして自己犠牲。最後に待つラストは切なすぎると思う。「平面いぬ。」での発想力。奇抜な内容と思わせながら、普遍的な家族の愛情を描く。彫物に実際にこんな出来事が起これば、私は猫の彫物を入れるだろう。表紙のポッキーが実に愛らしい。幅広い年代の読者に受け入れられる内容だと思う。独自の発想力と安定した読後感に唸る短編集。2018/08/25
いつでも母さん
191
息子の本棚より。短編4話。どれも好い。沢山の顔を持つ乙一らしいと言えばきっとそうなのだろう。読み手によってホラーにも、ファンタジーにも捉えるのだろうが、そのどれもがちょっと深かったりする。そこが好い。好いとしか言えない。乙一に出会う前のどこかに置き忘れてきた感情を思い出させてくれるような・・この先を生きて行くのに大丈夫だよと言ってくれているような・・私にはそんな感じ。2018/04/20
takaC
187
ミステリーでありホラーでありジュブナイルでありファンタジーでもある。上手いことを言うね、定金さん。2015/07/15
扉のこちら側
134
初読。石ノ目の正体は早くにわかった。はじめとBLUEは切ない系。平面いぬ。は天文学的確率の設定といぬの設定が面白い。2010/01/25
NADIA
120
和製ゴルゴン物語「石ノ目」。極めてリアルな幻の少女の物語「はじめ」。できそこないで豊かな感情を持つぬいぐるみの物語「BLUE」。表題作「平面犬。」の4作からなる中編集。「石ノ目」もなかなかの出来栄えだと思うが、次々さらに面白くなるのがすごい!! 「BLUE」は気持ちが温かくなるのを感じたし、「はじめ」「平面犬。」はちょっとふざけて面白おかしい文章でつづられているのにじーんと感動してしまった。乙一ワールド、私にはなかなか住み心地が良いところだ(^^) 2018/02/10