集英社文庫<br> 病む月

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集英社文庫
病む月

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  • サイズ 文庫判/ページ数 265p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784087475845
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

美人で金持ちで傲慢で、あの女は昔からいやな女だった。その女の美しい夫を寝取った「私」は…(「いやな女」)。年に一度の逢瀬には、必ず新調した着物を着る「私」。その日だけは、特別の存在になるのだから(「雪おんな」)。月が満ちては欠けるように、女もまた変化する。おもての顔の裏に別の顔を隠しもって。金沢を舞台に、せつないほどに「女」に満ちた10人10話。

著者等紹介

唯川恵[ユイカワケイ]
1955年金沢市生まれ。金沢短期大学情報処理学科卒。銀行勤務を経て84年「海色の午後」でコバルト・ノベル大賞受賞。以後、恋愛小説やエッセイを発表し、02年「肩ごしの恋人」で第一二六回直木賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

479
一時期むさぼるように読んだ唯川さん。直木賞受賞前の作品で、おそらく再読(読了した今でもハッキリしない)。金沢舞台に女性主人公の短編集。ラストに少しゾワりとさせられるあたり、特色は当時から出てはいるが、個人的にはもっとドロドロした内容が好み。にしてもタイトルが効いているなぁ。2020/09/27

アッシュ姉

75
読友さんのレビューに惹かれて、唯川作品初読み。読み応え抜群の上質な短編集で非常に面白かった。「今ではない、いつか」「ここではない、どこか」を求めている、怖い女、切ない女、壊れた女、不器用な女たち。短編と侮るなかれ、それぞれの人生観がぎゅっと濃縮され、彼女たちの行く末が気になりするする引き込まれる。じわじわ広がる闇ときりりとした結末も見事で満足度高し。美しい古都金沢を舞台に、どこか上品な語り口が心地よく、この一冊で追いかけたい作家さんに決定。お薦めしてくださった読友さんにたくさんの感謝を!2017/05/22

ann

66
ほとんどの話の結末は想像がついたが、そんなことはどうでもいいくらい、イヤらしさも醜さも寂しさも後悔も、女なら皆持っている情念の成れの果てを、静かな筆致で攻められたら涙のひとつもこぼしたくなる。2018/07/04

Satomi

65
金沢を舞台に繰り広げられる女達の物語。男なしでは生きられない、いくつになっても男の視線から逃れられない、媚びるように生きる、時に少女のような幼さを演じ、時に高飛車な女王様を演じる…。女が女であることを痛感する、イヤというほど思い知らされる。舞台となった金沢の街。賑やかで華やかな街というイメージとは異なる、東北でもなく、関西でもない北陸の閉塞感が物語をいい具合いにダークにする。ハッとしたり、ドキッとしたり、ゾッとしたりと短編とは思えない読み応え。とても面白かった。2017/09/26

もぐたん

44
いろんな表情を見せる月のような、「女」という生き物を様々な角度から描いた10篇。傲慢、偽り、強欲、嫉妬など、後ろ暗さがちらつくも、共感とも同情とも違う、息苦しいほどの同胞意識が嫌悪感を上回る。女たちの心に横たわる救いのない闇に響く彼女達の慟哭には、むしろ真っ直ぐで力強い生命力を感じる。煩わしさを抱えながら、たおやかに、したたかに、しなやかに生きて行く女たちの物語。★★★★☆2020/10/09

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