内容説明
ミステリ作家をめざす「おれ」は、小学校の非常勤講師。下町の学校に赴任して2日目、体育館で女性教諭の死体が発見された。傍らには謎のダイイングメッセージが!一方、受け持ちのクラスにはいじめの気配がある…。盗難、自殺、脅迫、はては毒殺未遂(!?)まで、行く先々の学校で起こる怪事件。見事な推理を展開するクールな非常勤講師の活躍を描く異色ミステリ。他にジュブナイルの短篇2篇を収録。
著者等紹介
東野圭吾[ヒガシノケイゴ]
1958年大阪市生。大阪府立大学電気工学科卒。エンジニアとして勤務しながら小説を書き、85年「放課後」で第31回江戸川乱歩賞を受賞、その後執筆に専念。99年「秘密」で第52回日本推理作家協会賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
305
題名は非常勤ならぬ“非情”勤とフィリップ・マーロウを髣髴とさせるサラリーマン教師を想像させるが、実は意外にも熱血漢。また特徴的なのは一作一作で舞台となる学校は違うところ。そして短期間しか学校に属さない非常勤講師だからこそ、それぞれの学校で形成される異質な常識や通念に囚われずに生徒たちと接し、真実を探求できるというところに主人公の設定の妙味がある。生き生きとした小学校生活の描写が大人の私にも懐かしく思えるし、現在進行形の小学生にもこれらの短編は実に面白く読めるだろう。本当に何でも書ける作家だなぁ、東野氏は。2013/07/10
Kircheis
297
★★☆☆☆ ジュブナイルな為、いい年した自分にはもう陳腐に感じれる部分が多かったが、小学生の頃に読んだらもっとおもしろく感じただろうな。 各小学校の名前が好き(≧∀≦)2019/03/20
ノンケ女医長
238
25歳の小学校非常勤講師。教職への熱意、生徒や職員室での対人関係は、平成15年の出版当時だと「かなり希薄」と評されてしまうのだろう。ところが今読み返すと「このメンタルがとてもいい結果に繋がるのでは」と思うことがとても多く、時代の流れも感じた。次々と職場が変わっても適応能力は高く、稀有な逸材の「おれ」の言動には爽快さがあった。三つ葉小学校で起きた惨劇 (102頁)。大学を卒業したばかりの若い教師を精神的に追い詰めた生徒たち。すすり泣く小学校5年生は、教師の死をあまり深刻に受け止めていないようにも思った。2023/01/14
ハイク
193
気軽に読めるサスペンス物である。担任の先生が産休等で休暇をとった時の非常勤講師として小学校に勤務する。その時に起きた事件を扱った6編の短編と他の2編で構成されている。小学生向きに書かれた本ということだが、内容はもう少し上の中学生辺りのレベルと感じる。その為筋書きはあまりひねっていないので、短期間で解決に向かう。学校を舞台としており、著者の奥さんが非常勤講師としての経験がありそれも生かされているのだろう。また題名の付け方で「6×3」「1/64」「10×5+5+1」等は面白い。少しの時間がある時に読める。 2016/03/29
黒瀬 木綿希(ゆうき)
192
ミステリ作家を目指す非常勤講師の「おれ」はドライな性格で子ども相手でもいたってクール。一つの学校に長居せず、揉め事を解決して去っていく様は実にハードボイルド。連作短編に近い形式で描かれているため発生した事件の解決が実にスピーディで読みやすい。小学生相手にもドライだと述べたが、物事の本質を穿ち、等身大の目線で且つ本音で語る良い先生。ジュブナイルでハードボイルドを描く理由に主人公の設定が必要だったというわけか。2020/06/25