内容説明
高等部に上がって新聞部で写真を撮り始めた凛一は、遠く京都の大学へ入学しフットボール部で活躍を続ける氷川を思いながら、ひとり過ごしていた。そんなある日、有沢という謎めいた上級生が現れ、凛一を写真のモデルにしたいと誘うのだった。有沢に魅かれ、孤独な心を乱す凛一。はなればなれになりながらもお互いを求める少年たちの思いの行方は…。好評シリーズ第二弾、待望の文庫化。
著者等紹介
長野まゆみ[ナガノマユミ]
1959年東京生まれ。女子美術大学卒業。88年に「少年アリス」で第二十五回文芸賞を受賞
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感想・レビュー
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優希
92
切なく揺れる恋心がじれったくて仕方ありませんでした。想いを寄せる氷川が京都の大学に進学したことで、不安定になる凛一がもどかしい。そこに孤独な雰囲気の有沢が現れるのだから、凛一の心は余計に不安定になったように見えました。でも、凛一の状況を思うと何となく揺れてしまうのが分かるような気がします。心は乱れても何処か純粋で澄んだ雰囲気は「碧空」というのに相応しいと思います。2016/03/12
りゅう☆
91
高校2年になった凜一は3年の有沢と出会う。凜一が同姓しか愛せないことを見抜き唇を重ねてきた有沢。煙草を吸い、酒も呑む。両親は離婚、孤独で心臓に病を抱えている。強がりながらも弱さを持つ有沢が気になる凜一。だが京都の大学に通う氷川を想う気持ちは変わらない。千尋の婚礼で京都に行った際、会えないと分かってながらも氷川の学生寮を訪れた凜一。だが女の存在を知り、また氷川は有沢の存在を知り、いよいよすれ違う。そして家元は凜一のために内弟子を取ろうとし、ショックで千尋の別宅に逃亡する。体の弱い凜一。みんなが心配するのも→2020/05/10
扉のこちら側
42
再読。初読は2001年頃。凜一シリーズを含む長野作品の中でも一番惹かれる作品。友人づきあいをしたいだとか恋心を抱くというものではないけれど、なぜだかこの有沢という人間が非常に気になってしまう。2008/05/25
ううちゃん
28
凛一シリーズ2冊目。氷川が遠くに行ってしまったからね。そりゃアンバランスな魅力を持つ有沢くんにぐらりと来てしまう気持ちも分からないではない。相変わらず柳のような凛一。その来るもの拒まずの流されるところが色っぽくもあるんだけどね。でも人生流されてるばかりじゃダメだね。進路のことをきちんと話せる彼に胸を撫で下ろし読了。2018/11/24
UK
25
描写がなんて綺麗。それぞれの場面が絵のように浮かび上がってくる。ただねえ、描かれる景色がみな男色のソレっていうのが、ちょっとね。それぞれに魅力的な(のであろう)男性たちの心模様。こういうワールドに引込まれる方はいかにもいそうだなあ。フチからふんふんと覗き込んで、わあきれい、でもさようならと手を振る。2016/03/23