内容説明
徳川家二代将軍秀忠の時代、幕藩体制は徐々に固まり、外様大名の改易が盛んであった。律義だけが取柄の秋田佐竹藩も例外ではない。藩の窮地を救うよう、戸沢小十郎に密命が下ったが、この男一筋縄ではいかない大ボラ吹きだった。ただ、そのホラをことごとく実行し、憎まれもするが愛すべき男でもある。その小十郎、天下を相手に大芝居を打った。時代小説の面白さを復活させる痛快・爽快活劇譚。
著者等紹介
花家圭太郎[ハナヤケイタロウ]
1946年5月、秋田県生れ。明治大学仏文科卒。フリーライターとして活躍後、ユニークなキャラクター戸沢小十郎を造り、98年「暴れ影法師」で時代小説作家としてデビュー
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感想・レビュー
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あかんべ
9
小十郎シリーズ1巻から読んでみたくて手に取る。子供のころからすごかったのね。父が父だけに培った性格なのだろう。最上が潰れるのも、佐竹が潰れるのも人の苦しみに差は無いのだろうに、ある意味ひどいやつ。それにしても置きっぱなしのひわはどうするのだろう。女との約束は破らないんじゃなかったの?2015/03/04
タツ フカガワ
5
時代小説にハマったころ、偶然手にしたのが本書。徳川二代将軍秀忠のころ、主人公は秋田二十万石の佐竹家で持て余しの臣で、名は戸沢小十郎。身の丈六尺の傾(かぶ)き者で、素行に問題あり、しかもほら吹きの評判。その小十郎が佐竹家存続を懸けた密命を受ける。破天荒かつ痛快無比の小十郎の活躍は、再読の今回も面白かった。2017/05/17
Steppenwolf
1
書評でこのシリーズ最新作が取り上げられていた。しかし最初からと思い本作から始めた。ほら吹きとのことで笑いありの作品かと思って読み始めたがさにあらず。しかし痛快である。家康秀吉など耄碌などと言うところに私と共通した気持ちを感じた。2007/05/27
まさみつ
1
徳川の世が定まり始めた頃。元かぶき者でほら吹きの名高い佐竹家の小十郎は、そのほら吹きな言動と奇行ゆえに疎んじられていた。しかし幕府の外様大名取り潰し計画に脅える佐竹家家老は、彼の器量に賭けて小十郎を江戸に送り出す。彼は己のネットワークを駆使し、幕府の内紛と隣藩最上家を巻き込んだ、佐竹家救済の奇策を仕掛ける。下手するとものすごく嫌味なキャラにしかならない主人公を、ギリギリのところで上手く好漢として描けている。2010/05/21