内容説明
「私、きれいになりたいの」ある夜、美容外科クリニックを開業した庸子のもとを訪れたのは、高校時代に苛めぬいた吉江だった(「きれい」)。恋人の話を楽しげにする章吾。ずっと愛してきたのに、彼は私を親しい友人としか見てくれない(「誰にも渡さない」)。女が男を心から愛したとき、行き着く果てはどこなのか。愛と背中合わせの狂気、その恐怖と哀しみを描く10人の女たちの物語。
著者等紹介
唯川恵[ユイカワケイ]
1955年、金沢市生まれ。金沢短期大学情報処理学科卒。銀行勤務を経て84年「海色の午後」でコバルト・ノベル大賞受賞。以後、恋愛小説やエッセイを発表し、02年「肩ごしの恋人」で第一二六回直木賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アッシュ姉
73
愛と狂気は背中合わせ。『めまい』というタイトルがぴったりなクラクラする短編集。愛が憎しみに変わるとき、愛情が深いほど憎悪も深い。女の執念の怖さ、怨念の恐ろしさにゾッとする。アンソロジーで初めて読んだ「青の使者」がやはり秀逸。「誰にも渡さない」もゾクっとしました。解説の篠田節子さんは本書を恋愛小説集とおっしゃっていましたが、私にはホラーでした。最近何かと話題の芸能界のおしどり夫婦といわれたお方を彷彿させます。あの投稿動画は怖すぎて直視できない。2017/07/24
ぷっくん
60
天に堕ちるを読んでから、唯川恵さんは文章が本当に読みやすい印象でした^_^でもこちらはホラー的な物を感じます、というか短編ひとつひとつにキチンとオチがある!怖い物から、不思議な物、悲しい物、10人の女性達の物語。飽きずに最後まで読めるのはさすが^_^唯川恵さんの作品は男女の愛を描く物がほとんどだと思うのでもっと読みたい☆私は好みでした。2016/01/13
dorebook
54
愛した行き先は何処なのか・・執着の怖さ、哀しさは余りに甘く苦い。以前目にした「月光の果て」はやはり断トツ素晴らしい。次いで「降りやまぬ」を読み終えた私は、初めて文章で雨に濡れた描写を全身で感じた。「耳鳴りにも似て」は、弱味を握られ、決して逃げられない心の檻に閉じ込められた 絶望に重い吐息が出た。正しく「めまい」で足元もおぼつかず、どんどん深みにはまる10編の作品でした。2016/11/27
machi☺︎︎゛
43
こんな女いないだろーって思うくらい怖い女がそれぞれ主人公の10の短編。魚の目玉をたべる話がグロくて1番怖かった‼︎女が内に秘めてるものは怖いなー。私も女だから気持ちが分かる部分はあったけど、それを実行には移せないな。でも唯川恵さんの文章はサラッと読めるから好き。 2018/07/22
優希
42
女の男に対する心からの愛は何処に行き着くのかという狂気が描かれていました。ホラーのような想いが体を貫きます。2022/06/15