内容説明
結婚5年目の冷めきった夫婦の「噂」、赤い手袋をはめて街に現れる娼婦の「噂」、不幸な事件で夫を亡くした美女の「噂」、奇妙な癖を持つデパート店員の「噂」…。小さな街に暮らす人々の平凡な人生に隠された過去と事件。男がいて、女がいて、そこからはじまる愛すべき人間ドラマ。地味な日常にあざやかな彩りを添える、自分ではない誰かのうわさ話7編。
著者等紹介
佐藤正午[サトウショウゴ]
1955年8月25日長崎県佐世保市生まれ。北海道大学文学部中退。83年に「永遠の1/2」で第七回すばる文学賞を受賞してデビューする
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロマンチッカーnao
24
鳩の撃退法を読んでから、佐藤正午さんの作品は全部読破しようと思い、少しづつ読んでいます。この作品もその流れで読みました。小説家がきいた噂話を書いてる短編集なんですけど、どれもthe・佐藤正午って感じですね。独特の文体。だいぶめんどくさい小説家。どの作品もファンには楽しめる作品です。浜田君がパートナーとどんな暮らしをしてるのか気になりますね。2018/09/14
ゆっ
5
短編7作品にはどれも小説家である『私』が登場するので、連作短編集になるのかもしれない。私小説だったりして…と思いながら読み進めたけど、本当にそうかも?と感じさせる生々しさが何ともいえない。2014/03/20
rio
4
片方の手袋を拾って自分の手にはめている女の子のくだりは凄く良かった。ストーリーとか構成とか主題とか、アカデミックな話は語れないが、素晴らしい作品に出会えて良かったと思う。読書メーターで今現在、この作品に対する読者の登録数はたった31である事が不思議に思えるし、チョット嬉しい気もする。2016/11/02
TR40
1
佐藤正午はこう言う男女間のチマチマした話を手を替え品を替え色々考えますね。直木賞の「月の満ち欠け」のようなループを考えたり幻想的な手法だったり、男女関係の技法のデパートですが、基本は手に負えない女性の前でアタフタする男の懺悔小説だと思ってます。ここにある7篇はまさしくしょーもない男の記録をネタとして、伝聞設定で、私は書きました!と言う作者の私小説ふうな味付けでフェミニスト受け100%の出来です。2018/01/08
けんこう
1
△2016/02/11