内容説明
とある町で行き倒れそうになっていた謎の青年・夜木。彼は顔中に包帯を巻き、素顔を決して見せなかったが、助けてくれた純朴な少女・杏子とだけは心を通わせるようになる。しかし、そんな夜木を凶暴な事件が襲い、ついにその呪われた素顔を暴かれる時が…。表題作ほか、学校のトイレの落書きが引き起こす恐怖を描く「A MASKED BALL」を収録。ホラー界の大型新人・乙一待望の第二作品集。
著者等紹介
乙一[オツイチ]
1978年福岡生まれ。「夏と花火と私の死体」で第六回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を十七歳で受賞し、衝撃のデビュー。現代日本ホラー小説界の若き俊英として注目を集めている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
214
夏だ!ホラーだ!乙一だ!ってな具合で、やっぱりこの時期になると手にしてしまう天才乙一さん作品です。本作品は初期の作品で、荒削りな部分は感じますが、そこを差し引いても才能の非凡さを十分に感じます。2編からなる作品ですが、どちらもジワジワとくる感じはやはりこの時、既に確立しているようですね。トイレの落書きをネタにあそこまで話を発展させて、読んでる側にハラハラ感をお腹いっぱいに与え、もう一作ではお得意?のホラーファンタジーで、こちらも荒削りながら読んでる側のココロをガッチリとつかんでしまうのはさすがですね。2016/07/09
ミロリ
137
『A MASKED BALL-及びトイレのタバコさんの出現と消失-』見ず知らずの人と同じものを共有して小さなネットワークができるのは面白い。トイレが小綺麗だからといって、そこで落書き行為をするのには気が乗らなかった。犯人は戦うと凶暴になるけれど、普通にしていると案外可愛いと思う。ちょっと間違えた正義の味方と思えば愛しい。『天帝妖狐』積んでから数年、ようやくタイトルの正しい読みが分かった。白と黒がはっきりしない感じが良い。夜木さんの身体を奪った早苗さんの気分はどうなんだろう。2014/11/01
とら
132
『A MASKED BALL 』『天帝妖狐』の二編収録。この作品たちを書いた当時乙一さんはまだ20歳にも達してないのだ!めちゃくちゃ良かった。一応ホラーらしいけど、ちゃんと起承転結あるし、どちらかというとミステリっぽいし、(まあホラーとミステリってほぼ同じようなものだが)ホラーだとしても、何故か読後感が憂鬱にならない!むしろ晴れ晴れとしている。この二編とも乙一さんが本気で書いてる感じがする。どちらが本のタイトルになってもおかしくない。いやむしろそれだけを入れて個々に薄い本を作ってもおかしくない出来である。2013/01/16
むらKみ
127
妖狐の子になる契りを結んでしまい、心も体も妖に変化していく夜木。心の描写に寂しさや悔しさを感じましたね。でも弱った人の心につけこむのは、妖だけではないんだよね現実は。そんなメッセージなのかな? 杏子も人が良すぎ普通救急隊呼ぶよね。(^^; 今回の乙一作品は2作品とも残虐な描写もありましたがさらっと読めました。行間が広かったから(^^; ところで実はいま「しゃばげシリーズ」読んでますが妖狐も著者が違うとキャラも扱いも変わるもんですね。”ねっ若だんな”(^.^)2013/04/19
まじゅ
119
子どもが小一時間で読んでたので読み終わると同時に手に取った。トイレのタバコさん、スラリと読めるのは軽いからじゃなくてやっぱり巧いんだなと。つっかえる所が皆無な小説って思ってるよりあんまり無い。初期の作品と知って流石乙一だと思った。表題作は題材に反して美しい愛を強く感じた。こっくりさん、子供の頃に流行ってて放課後に皆で神妙な顔してやってたのを思い出して懐かしかった。2012/10/15