内容説明
国際的なマヌカンを夢見るシルビアは、亮介との関係からスパイ容疑をかけられ、出国査証を拒否される。やむなく不法に「壁」を越えようとして失敗、将来への希望を絶たれて思い悩む。一方、DDR国家元首ホーネッカーはイデオロギーの引き締めに乗り出すが、歴史の潮流の中でDDR破滅の筋書も確実に動きだしていた。亮介とシルビアの愛のゆくえは?そして「壁」を突き崩す壮大な陰謀とは。
著者等紹介
春江一也[ハルエカズヤ]
1962年外務省入省。68年チェコスロバキア日本国大使館に在勤中「プラハの春」の民主化運動に遭遇。ワルシャワ条約軍侵攻の第一報を打電する。その後在東ドイツ大使館、在ベルリン総領事館、在ジンバブエ大使館、在ダバオ総領事館に在勤。在外務当時の体験を基にした『プラハの春』でデビュー、反響を呼ぶ
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感想・レビュー
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優希
38
ベルリンの壁の歴史をぼんやり思い出しました。恋愛の行方も気になるところですが、世界史における陰謀も気になって読みました。2023/02/17
あちゃくん
31
前作「プラハの春」に続き、冷戦下の東欧での日本人外交官と東欧女性の物語です。リョウとシルビアの恋愛についてはそれほどでもなかったけど、西側に対峙する最前線として人工的につくられた国家DDRと内部に壊れ行くものを抱えながらそれを力によって押さえ込み維持を図ろうとしたソ連の話は、興味深く読みました。二つの大きな勢力の狭間で、DDRはどうやったパワーバランスを取ろうとしたか、そして対外的・内政的に何が崩壊を招いたのか、その歴史を検証することは、現代の日本にとっても意味のあることのように感じます。2014/05/31
すみちゃん
8
前作の「プラハの春」以上に、著者の(というか、男の)願望・空想がかなり入っていて、ちょっと食傷気味でしたが、歴史小説としてはとしてはすごく面白く読ませていただきました。ベルリンの壁の崩壊は1989年。ソ連・東欧体制が壊れてから、まだ20年少ししか経ってないんだなぁ。2012/09/13
藤枝梅安
7
ファッションモデルを目指すシルビアは着実に名声への階段を上っていた。 ミラノ進出を願う彼女は言い寄ってくる男性の言葉に促され、 男性の車のトランクに身を潜め、出国を企てるが、国境の検問で停められ、 運転していた男性は射殺され、シルビアも逮捕される。 打撃を受けたシルビアは再び精神に異常をきたす。 ◆DDRに妻・恵子がやってきたが、生活になじめず夫婦の間は冷え切っていくばかりであった。 恵子は帰国を決意する。これが二人の距離をさらに隔て、亮介は離婚を決意する。2010/07/18
アン子
6
プラハの春に引き続き・・・KGBやシュタージの秘密警察、諜報活動合戦は 興味あるところだったが男女間の話の方に力が入りすぎていて残念! しかし、主人公が年とってキモいエロオヤジになっているのがリアルです。外務省にこういうチョビヒゲ生やしたオッサン沢山いそうだよな~(笑) 2012/08/12