内容説明
1967年3月、プラハ。チェコスロバキアは共産主義の抑圧から脱し、経済改革と自由化への気運を高めつつあった。そのさなか、堀江亮介はビーナスのようなカテリーナ・グレーベと出会った。だが、亮介は日本国大使館員、カテリーナは東ドイツ人の反体制活動家。東西対立の最前線の地では、禁断の愛だった―現役外交官が自らの体験をもとに描いた、国際ラブ・ロマン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
104
チェコスロバキアの代名詞のような体操の女王チャフラフスカが、メキシコオリンピックで同情を集め、ライバルのソビエトのクチンスカヤに圧勝したのは、つい 昨日のことのようだが…本書は、その時代いわゆる「プラハの春」の運動の盛り上がりと、ソビエトによる軍事介入で崩壊する様を、本人外交官と東ドイツ女性カテリーナとの悲恋を交えながら描いた「事実を素材にしたフィクション」である。長かった冷戦の時代、東側の情報が全く公開されなかったため、こうして振返ると、一体社会主義とは何だったのか、と今でも思う。2010/06/09
財布にジャック
85
恋愛物は苦手なはずなのですが、久しぶりに恋愛物なのに夢中になってしまいました。舞台がチェコだというだけで、読もうと決意したので、内容は全く知らなかったのですが、あまりにもドラマチックな歴史的背景と舞台に、もうメロメロです。作者は実際に「プラハの春」の民主化運動を目撃なさっていて、その当時チェコスロバキア日本国大使館勤務をされていた方なんだそうで、どうりでリアルなはずですね。下巻でのチェコの運命、そして主人公の恋の行方が…気になってもう何も手につきません。2013/05/14
chimako
56
『プラハの春』と言えばチェコスロバキアの民主化運動。それを書名にした上下巻は読友ユザキ氏のおすすめ。文庫の裏には「国際ラブ•ロマンス」などと書いてありますが、世の中が目覚めんとする瞬間の骨太な物語。感想は下巻で。革命運動のさなか、亮介とカテリーナの運命も大きく動き出す。2014/04/01
ちゃんみー
45
俺が産まれた頃のことだなぁー、って思いながら、東欧の情勢はわからず読んでました。恋愛物語なんですね。下巻へ。2017/10/21
i-miya
43
2010.08.08 (表紙裏) 1967.03プラハ、チェコスロバキア。東独反体制運動家カテリーナ・グラーベ。現役外交官が描く。(地図1) プラハ、ドレスデン。(地図2、プラハ中心街) フラッチャニー、ストラホフ修道院、聖ミラクーシェ教会、マラー・ストラナ、勝利のマリア教会、ペトシーン公園、キンスキー公園、カレルの庭園、プラハ城、マラー・ストラナ広場、日本大使館、レトラー公園、フランチェスク教会、カレル橋、カンパ島、チェコ軍団橋、射撃島、ブルタバ川、子供の島、2010/08/08