内容説明
1980年代、東京近郊のある地方都市に育った四姉妹が歩むそれぞれの人生。長女夕香は留学したアメリカで国際結婚をし、次女朝子は女子美の時知り合った「コンセプチュアル・アーチスト」と同棲中。三女雅江は勤めている幼稚園の園児の父親と結婚、出産。四女美由紀は一年ほどまえから同棲していた貞一郎と結婚式を挙げた。四人の姉妹と、その母親が織りなす恋と愛を軸に展開する長編傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bartleby
14
こんな傑作が絶版とは信じがたい。河出文庫あたりに入れたらちょうどいいのに。タイトルからして、谷崎潤一郎の『台所太平記』、内容からして『細雪』へのオマージュだろう(もっとも、金井は"オマージュ”という言い方を嫌いそうだ)。四人姉妹+母の生活と恋愛模様がまるで織物を織るように語られる。時間の流れも一様ではなく行きつ戻りつする。心理描写もさることながら、細部の映像的な描写はさすが。2022/11/12
OjohmbonX
2
四人の娘と母親のお喋りで進んでいくので、これは父親が出る幕はないなあと思っていたら、章の変わり目でいつの間にか死んだことになっていたのには笑ってしまった。著者はどこかのエッセイで、小説にその時々の風俗を書き込むと後で古びて見えるから私は極力排除している、というようなことを言った小説家に対して、古びる前にあんたの小説は読まれなくなるから大丈夫、と皮肉っていたのをふと思い出した。この小説は風俗まみれだけど別に古びて見えることもない。風俗かどうかというより(実際か仮構かというより)具体性が詰まっていれば楽しい。2011/09/15
minamimi
1
何度目かの再読。初めて読んだのは20年以上前かな。4姉妹がいつの間にかみんな年下になっていた。いつ読んでも、何度読んでも、どこから読んでも面白い。くすくす笑い、しんみりし、登場人物たちの、どうということの無い日常を楽しむ。男性は何が面白いか分からないかもしれない。ただ文章を楽しむ事ができれば、これほど面白い小説はなかなか無いと思うのだが。2019/06/30
いえろう
1
普通の日常をたんたんと描いている。とにかく一文が長い。四人姉妹の一人一人を細かく描いているとも言えるのかも。ちょっと裕福な家庭を垣間見たようなそんな話だった。2014/10/26
ぱらっぱ
1
この本を読んでからジェインオーステインを読み始める。この本は細雪とジェインオーステインの現代的な見事な融合だった。2014/03/13