内容説明
幇間と書いて「たいこもち」と読む。歴史ある由緒正しい芸人のことだ!教養があって、芸があって、品が良くなくっちゃいけない。それよりなにより、人さまの心が分からなくちゃいけない。人さまに愛されなくちゃならない。―そんな幇間の最後のひとり、悠玄亭玉介師匠が、落語の名人や歌舞伎の名優との交友から、花街世界の艶話まで、軽妙洒脱に語り遺した日本の伝統芸能の裏表、人生の機微。
目次
幇間一代
名優伝
芸人魂
教訓
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
64
幇間というと「よいしょ!」が連想されますが、本来は、相手に話をさせて聞き上手に徹することと書いてあります。なるほど、営業でも、ただセール寸徹するのでなく、相手に興味を持たせる、相手から話してくるようになれば、目的達成となります。歌舞伎の話や芸人の話、同じ時代ではありませんが、スケールの違いを感じさせてくれます。2021/03/14
三平
12
職業として幇間(太鼓持ち)をしていた人の独白ということで興味を持ち、手にとった。 芸者置屋に所属し、男性ながらも客に請われて宴席に呼ばれ、宴を盛り上げる幇間。客や芸者衆に払われる細かく深い配慮に感嘆した。 修行で培われた芸の下地もあり、様々な分野への造詣が深く、お話も大変面白かった。2020/06/13
けん
10
★2.5 臨場感たっぷりの江戸弁が良かった。 聞き手の小田さんは、 聞き書きの入門書も書かれているのですね。 2021/09/21
hoiminsakura
9
幇間のプロ意識がとことん語られ、一流のおもてなしとはこういうものなのだと勉強になった。それがまた自分に跳ね返ってくるのがプロフェッショナルのやり方なんですね。2024/01/24
ウチ●
3
政府の統計調査の分類基準で使う「日本標準職業分類」の97年の改訂で、「幇間」、「踏切警手」は「職業」としては消えた。(2013.6.22朝日新聞beより)しかし、昭和の初め頃には東京だけでも300名以上の幇間がいたとは。諸芸に通じ、お座敷のMCとしての役割をになってきたお仕事であることはついぞ存じ上げませんでした。カラオケの発達により流しのギター弾きが盛り場からいなくなったように、お座敷での宴会が激減したことにより幇間という職業が必要とされなくなったそうです。残念なことです。「玉介の教訓」が沁みました。2013/07/13