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集英社文庫
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  • サイズ 文庫判/ページ数 376p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784087468335
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

愛の極みは憎しみなのか。恋愛の涯(はて)にあるものは。
恋愛関係にあった男と形の上では別れたが、愛憎の感情はいつまでも心の奥でざわめく。作家のタマキは恋愛における抹殺を小説のテーマとし、取材を進めるが、最後に見たものとは。(解説/伊集院 静)

内容説明

作家の鈴木タマキは、恋愛における抹殺をテーマに『淫』という小説を書こうとしていた。主人公は、妻と愛人との修羅の日々を描いた緑川未来男の私小説『無垢人』の愛人、○子である。○子は果たして実在の人物なのか、創作なのか。取材を進めるうちに、タマキは自身のかつての恋愛の狂乱を重ね合わせていく。小説の虚構が現実となり、そして現実を越えていく。人間の内側を深く抉る傑作長編。

著者等紹介

桐野夏生[キリノナツオ]
1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒業。93年『顔に降りかかる雨』で第39回江戸川乱歩賞受賞。98年『OUT』で第51回日本推理作家協会賞、99年『柔らかな頬』で第121回直木賞、2003年『グロテスク』で第31回泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で第17回柴田錬三郎賞受賞。05年『魂萌え!』で第5回婦人公論文芸賞、08年『東京島』で第44回谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で第19回紫式部文学賞受賞。『ナニカアル』で、10年第17回島清恋愛文学賞・11年第62回読売文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

353
タイトルからして『OUT』と表裏一体を成す小説かと思っていたが、小説の内質はともかく、それとは全く独立した作品であった。本編に描かれる小説内小説として緑川未来男の『無垢人』が島尾敏雄の『死の棘』であることは自明である。桐野がこの小説にこれほどまでに拘泥したのは、フィクションの意味を突き詰めようとしたからに他ならないだろう。緑川、妻の千代子、愛人の◯子の確執を巡って、言葉における真実を探ろうとする試みである。しかも、それはこのの桐野にとっては切実な問題だったのではないだろうか。また、本書には複数の時間が→2018/09/11

まさきち

75
家庭がありながらかつて編集者と不倫関係にあった作家が恋愛における抹殺をテーマに小説を書き上げていく。勝手にOUT的な退廃と躍動が入り混じる展開を期待していたからかスローな展開を楽しめず、また別れた不倫相手への執着がどうにも粘着質で少々残念な気分になった一冊。2016/11/22

50
小説の中で描かれている小説が現実とごちゃ混ぜになってなんかドロドロした作品。物書きの業みたいなのを描きたかったのかな。2017/07/03

扉のこちら側

48
単行本で初読し、文庫で再読。愛憎というのはこういうことを言うのだろう。恋愛の抹殺。2013/04/07

papako

41
久しぶりの桐野作品。これまで読んだものとは雰囲気が違ったけれど、堪能しました。作家の視点、フィクションと真実の違い、恋愛と夫婦の間。様々な境界を突きつけられた。特に作家が書く虚構がどのように嘘ではなく、小説となるのかが興味深いです。こういう小説も好きです。2014/02/21

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