内容説明
自意識が強すぎて身のこなしがぎくしゃくしている。初対面の人に「オーラがない」と言われてしまう。エスプレッソが苦くて飲めない。主食は菓子パン。そんな冴えない自分の「素敵レベル」を上げたいと切望し続けて、はや数十年。みんなが楽々とクリアしている現実を、自分だけが乗り越えられないのは何故なのか?世界への違和感を異様な笑いを交えて描く、めくるめく穂村ワールド。
目次
エスプレッソ
現実圧
愛の暴走族
あだ名
あたまたち
つるつるの絶壁
優先順位
世界の二重利用
素敵側へ
リセットマン〔ほか〕
著者等紹介
穂村弘[ホムラヒロシ]
歌人。90年に歌集『シンジケート』でデビュー以後、短歌、評論、エッセイ、絵本翻訳などの分野で活躍。2008年『短歌の友人』で第19回伊藤整文学賞、「楽しい一日」で第44回短歌研究賞を受賞。石井陽子とのコラボレーション『It’s fire,you can touch it』(「火よ、さわれるの」)でPrix Ars Electronica Interactive Art部門honorary mention入選(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
532
読メのTLで気になっていた作家さん。歌人であり詩人であり…いうこともおぼろげにしか知らなかった。なんとなく優しい文章を書く方、という印象。なんというか、優しいのであるが、ところどころ突拍子がない(笑)この世は彼にとってはあまり生き易いものではなかろう、と推察される。さすがの歌人、言葉をとても大切にされているのがわかるエッセイ集。あとがきはやはり、というか当然というか、「しをんさん」だった。2023/09/19
ヴェネツィア
352
この日記を書いていた頃、穂村弘はサラリーマンであり、歌人であり、エッセイストでもあるといった3足の草鞋を履いていた(詩人も別立てにすれば4足)ことになる。会社の規模は不明であるものの、41歳にして総務課長というのだから、出世も早い。つまり有能なサラリーマンだったのだろう。さて、この日記だが、トータルに見れば「空転する自意識」といった感じだ。歌人というものは、あるいは穂村弘に限るのかもしれないが、外界への関心よりは、それがひたすらに自己自身に向うようだ。彼の歌は、意外にも外から見た自己を歌ったりするのだが。2013/02/16
そる
246
思考が後ろ向きで自信がなさそうなんだけどそれがかわいいしおもしろくて思わずクスッと笑えるし共感できるとこもある。穂村さんは人が好きなんだろうな、人に好かれてそうな感じがします。今はこんなんだけど本当はちがうんだ、いつか本番の人生があって今は準備期間なんだ⋯ということで暗中模索中なお話でした!本来は歌人だけどこれはエッセイ。「誰もみていない、誰にも(キスの相手にすら)気づかれない、これ以上ないほどのさり気ないキスのなかに、ふたりの年月と「彼」に対する愛情がいっぱいに詰まっているのを感じて胸が熱くなった。」2019/02/21
風眠
239
あれほど結婚怖いって書きまくっていたのに、突然「妻」って文字が出てきたから誤植かと思っちゃったよ(笑)。穂村さん結婚したんだね。「怖い」をひとつ克服できたね。おめでとう。穂村さんご自身の自虐ネタが、これでもかってくらい満載のエッセイなんだけど、あー、分かる、うん、わかるよ、なんて、うっかり共感してしまって、あぁ!私もかっ!って、自分のダメダメさ加減を思い知らされる。なんだろうこの感じ・・・この敗北感・・・この劣等感・・・。面白いんだけど、破壊力があるエッセイ。今の私もリハーサル、華々しい本番はこれから! 2014/06/02
masa@レビューお休み中
184
んっ?なんだか、いつものほむほむと違う…。そう思って調べてみたら、原因がわかりました。これはエッセイを書き始めたばかりの初期の作品なのですね。なんだか、微妙に笑えなくて、でもどこか親しみが湧いてしまう、隣のおじさん的な雰囲気を醸し出していたので、「どうした、ほむほむ!?」と驚いてしまったんですよね。でも、逆をかえすと…。穂村弘という作家、歌人に触れたことがない人が読む、導入書として最適なのではないかと思うのです。まずは、孤独で小心者で、かなり変なおじさんである穂村弘の生態をこの本で感じてみてください。2015/04/20