内容説明
理工系ミステリィ作家の毎日は工作の連続だ。掃除機を分解修理し、ミニチュア鉄道を庭に敷設し、さらなる工作生活の充実のためにガレージまで建てて、夜な夜な旋盤を回し、部品を削る―。手になじんだ工具への愛着、空を駆ける模型飛行機への憧れ、パーツを探した模型店の思い出などにふれつつ、小説の創り方や人生哲学もさらりと語る、「モノを作る幸せ」に充ちたエッセイ集。
目次
散らかしの法則
不器用と不得意
憧れの工具
洗濯機の排水と粗大ゴミ
ワープロ航法
トンネル工事
工作スペース
工作と健康
工作材料の備蓄
僕の小説の書き方
忙しさとは
適材適所
時間の使い方
設計図どおりにいくか
模型屋慕情
飛行機の証明
線路が好き
小説という工作
著者等紹介
森博嗣[モリヒロシ]
1957年愛知県生まれ。96年『すべてがFになる』で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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いずむ
20
森センセの宝箱を覗きました。庭園鉄道はいうに及ばず。コワイ(?)すばる氏、哲学者・トーマ、宙吊りのヒコーキ、壊れた洗濯機。森センセが特別その一つひとつを愛おしく思いながら書いた、とは思わないけど(残念ながら)、それでも、お話に出てくる何もかもが、クールでチャーミングに見えてくる。タイトル通り、永遠の工作少年たる森センセ。日々ユニークに、自由に、趣味に忙しく生きているから、身の回りのモノまでステキに見えてくるんだなぁ。でも、その自由を手にした背景に、超人じみた仕事力がある。そこが、ホントにスゴイのです。2012/02/06
akira
18
幕間第3段。 いやー面白かった。こんなに笑ったのは水柿君以来。 そしてくどい、くどい、さらにくどい。(だがそこがいい) とにかく脱線に次ぐ脱線だが、その脱線内容も面白いので読んでいて飽きない。「わりと好きな先生の雑談を聞いてる」感じ。 「デザインが『技』であるならば、アートは『芸』」は納得。『ウェブデザイン』とは言うが、『ウェブアート』はあまり聞かない。つまりそういうこと。 「『ガラスの心臓』なんていうが、つまりちょっとやそっとでは傷がつかない硬い心臓のことだろうか」(ガラスは実は鉄より硬い)2013/04/19
🐾ドライ🐾
11
2003年頃の随筆。ちっちゃい頃から工作好きで、誕生日プレゼントも工具で大満足。小説家の収入が大きいから工作は趣味の域を超えて職人クラス。何がすごいって大概のものは設計図なしで作れてしまうところ。同様に小説もプロットなしで書くのが当たり前だとか。ポンポンポーンと6000文字/時間くらいのペースで文字を打つそうだが、作品の多さからも迷いなくキーボードを叩く姿が浮かぶ。その迷いなさが親父ギャグをついつい書かせてしまうのだろう。やめられない止まらない親父ギャグ、ハートが強いと思います。2023/05/25
あい
10
森先生が楽しそうでいいなぁ〜とニヤニヤしながら読んでいると、油断するなかれ、随所に鋭い文章が書かれている。「どういうわけなのか、ちょっとした隙を目敏く発見して、人間はすぐに怠けようとする。余裕が少しでもあれば休む。決して無駄にしない。見逃したりしない。そういった「時間」に対する貪欲さには、呆れるばかりである。」これはわたしへの忠告ですか?とてもダメージを受けました。楽しいだけではなく、厳しさも教えてくれる素敵なエッセイです。2022/11/19
ふな
10
森家のトーマ君が我が愛犬と同じ犬種とわかり一気に親近感がわいた(単純)物を作るのが好きなのであって小説書きではないとのたまう作者。世の中の小説書く人達に謝れ(笑)面白い人だが旦那にしたら腹立つだろうと思う。この人は文字通り少年なのだな。2014/05/04