内容説明
官は十万以上の兵で、梁山泊への進攻を開始した。流花寨には趙安の軍が押し寄せ、呼延灼、関勝、穆弘がそれを迎え撃つ。呉用は流花寨の防衛に執心するが、官の狙いは別の所にあった。董万の大軍が息を潜め、急襲の秋を待っている。一方、孔明と童猛は官の造船所の襲撃を計画した。強固な防備の中、百名の寡兵で潜入を試みる。そして、ついに董万が疾風の如く動き出した。北方水滸、決死の十三巻。
著者等紹介
北方謙三[キタカタケンゾウ]
1947年唐津生まれ。中央大学法学部卒。81年『弔鐘はるかなり』でデビュー。83年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞を、85年『渇きの街』で日本推理作家協会賞長編部門を、91年『破軍の星』で柴田錬三郎賞を受賞する。また、2004年『楊家将』で吉川英治文学賞、06年『水滸伝』(全19巻)で司馬遼太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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W-G
275
ここから本気の宋が牙をむき、梁山泊の終焉の始まりとなったと位置づけられる内容の巻。燕青に続き、朱仝が死域に入り、志を貫きながら散っていく。これまでの中でも屈指の、印象深い最期となった。冷静に考えれば当たり前なのだろうが、個々の力量はあろうとも、拠点が多くあるほど、物量攻めに弱くなり、無い袖は振れない状態で脆い部分から決壊してしまう。それを取り繕う自転車操業ぶりが一気に表に出てきた。そんな中で、武松/李逵と宋大公のふれあいが強烈に心に響くのはなぜだろう。その章だけ、時が止まったような静けさと清々しさがある。2021/12/12
しんごろ
242
禁軍も援護にはいり官軍との全面戦争になった梁山泊!梁山泊が全滅するのかと思うほどの死闘でした。戦いもすごかったですが、戦況の探り合いも引きこまれましたね。豪傑が何人も戦死。その格好良すぎる死に方に涙が止まらなくなりました。しかし、まだ戦いは続く!梁山泊に集まった漢達の生き様を最後まで見届けるぜ!2017/10/29
ehirano1
132
『志の弱さ』について問うた本書ではなかったかと思います。呉用の「・・・飢えを満たすためだけにでも、志は容易く捨てられることがある」やアサシン呂牛は志なんて全く信じていない、いや信じていないのではなく、むしろ志が如何に弱いかを知っているのではないかと思いました。2020/01/04
納間田 圭
120
広大な大陸に広がる山や原野や砂漠…そして緩やかに脈々と流れる大河。この北宋末期…軍船の技術発展の歴史にも注目。そこから生まれた…槍魚(そうぎょ)という名の必殺兵器は凄い。熾烈を極める梁山泊軍と官軍との戦は…いよいよ陸上から水上へ。だから…南方の沿岸”流花寨”での決戦に備え大集結する両軍。と…思いきや、官軍側のまさかのブラインド攻めで意表を突かれた梁山泊。梁山泊軍は肩透かし。いるはずのない官軍主力が…北方に出現し双頭山を襲う。そして、この章では…”朱仝”と”孔明”が散る。2022/01/13
Kircheis
93
★★★★★ 朱仝と孔明の死に様が実にカッコ良い。 孔明はお気に入りのキャラの一人だったので寂しい。 この辺りから梁山泊劣勢が明らかになってくる。2018/03/23