内容説明
介護福祉士をめざすかれんは鴨川へ移住することをついに決意する。遠く離れてふたりの関係はどうなるのだろう。かれんを応援したいけれど、行って欲しくもない勝利の心は複雑だ。離れていても互いの思いは変わらない、彼女だって同じはず。それはふと触れ合う瞬間にだって、充分すぎるほど伝わってくる。でも確かめたい、彼女の言葉で、その胸の内を。シリーズ9弾。
著者等紹介
村山由佳[ムラヤマユカ]
1964年7月東京都生まれ。立教大学文学部卒。会社勤務などを経て、93年『天使の卵―エンジェルス・エッグ』で第6回小説すばる新人賞を受賞。2003年『星々の舟』で第129回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優愛
71
「言葉は気持ちには追いつけない」分かっていても急かしてしまう。好き、愛してるじゃもう到底足りなくて。だからこそ懸命に言葉にして伝えようとする。相手の口から零れる同じ想いを祈るように待ち続けるのです。これまでだってそう。勝利もかれんも優しい言葉や辛い言葉を飲み込んでぶつかり合ってここまできた。もうずっと肩を並べて歩いていけると信じている。私もかれんのようにしっかりとした志しを持っておばあちゃんやおじいちゃんにそっと寄り添える介護福祉士になりたいと思います。目標は常に心にあることで頑張れるのですね、マスター。2014/12/11
だまだまこ
60
シリーズ再読、9作目。前回は星野りつ子が抑えきれない思いを爆発させてたけど、今回は勝利もかれんに言いたいことを(言いたくないことまで)を言っていた。本音トークのクリスマスイヴ。男として強がって見栄を張っていたい勝利の気持ちもわかるけど、弱音も含めて全部話して頼ってほしいかれんの気持ちもわかる。まぁ勝利がうじうじと彼女に愚痴ってばかりいたら、それはそれで勝利らしくない気もするけどね。かれんの最強のお守り…すごく印象に残ってたな。2人のことをよくわかった上で間を取り持つ大人びた丈が頼もしい。2020/05/17
えりこんぐ
59
かれんがついに鴨川に出発。遠距離恋愛が始まる前のふたり。見栄っ張り&かっこつけのショーリが、自分の気持ちをかれんに少し伝えられた、かな? あれ、次で第一部の完結なのか。どんな結末なのかな(´ω`)【積読83】2020/09/23
とら
54
もう兎に角読む時間が無くてどうしようかと思っていてこのシリーズなら漫画感覚でいけるだろう…と思ったらそれすらもキツい状況に追い込まれて、結局もの凄い読むのに時間がかかった。でも実質読んだ期間というのは少ないので、読んでしまえば、話に入り込んでしまえばすぐだったと言うことなのだろう。まあそんなこんなでラストまであと一巻のこの巻、まあ正直に言えば「聞きたい言葉」の副題通りの内容であり、無くても良かった感はある。物語において重要な展開もあったのだが、そんなもんは前のどこかの巻に入れればいいだけの話。次巻最終巻。2014/04/19
万葉語り
44
再読。かれんの鴨川行きが決まる。言葉で表せない気持ちはあるけれど、たとえ追いつけなくても聞きたい言葉があるという最後にやられた。2016/04/21