内容説明
昭和初期の岡山。美貌と巧みな嘘で男たちを虜にする売れっ子女郎・稲子。客の中西に世間を騒がすピストル強盗・通称ピス完の面影をみた稲子は、商売を忘れてこの悪漢に惚れ込んだ。ともに大陸へ渡ったが、大連で遊廓に売られ、中西を追う旅が始まる―。見知らぬ異国で、人を殺め、金を奪い、男を騙しつつ、思う男に抱かれたい一心の逃避行。赤い大地を破滅へと疾走する女が見た夢の果てに…。
著者等紹介
岩井志麻子[イワイシマコ]
岡山県生まれ。1999年「ぼっけえ、きょうてえ」で第6回日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。同題の作品集で山本周五郎賞、『チャイ・コイ』で婦人公論文芸賞、『自由戀愛』で島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぴょる吉・アンジェリーナ・Y
2
「5時に夢中」でおなじみの岩井志麻子先生の作品。実に男臭い筆致。女郎が主人公なので頻繁に性描写が出てくるが、繊細かつ大胆、そして誇り高い。女性が読むべき小説だと思うが、敷居が高そうだ。舞台は満州、登場人物は女郎、強盗、オカマ、小人等。血生臭い場面も満載。でも、勢いがあって本当に面白いしいつもTVでち◯こを連発している裏で(表で?)先生すごい仕事してるんだねって感心。2012/05/08
さつきち
2
相変わらず湿り気と凄みのある文体でよかった。特に纏足で足コキのシーンとかよかった。でもそれだけに、通勤電車で読んだのは失敗だったwこれは家で一人でじっくり読むのが合う本。2012/03/27
サラ.K
2
久しぶりに岩井志麻子を読んだ。この人の持つ鮮やかな毒気が好きなのである。表紙も思惑通り極彩色。セクシャルな場面を描かせればさすがの一言。纏足の少女と天野、稲子との三人のもつれあいは匂いすら漂ってきそうだった。読みやすい。2012/01/09
くさてる
2
岡山の貧農出身の生命力に溢れる娼婦が、自分の魅力と行動力だけを糧にして、愛しい男とともの逃避行から、愛しい男そのものを探す旅に挑む物語です。。前半までのバイタリティあふれる展開と、後半のまったりとした幻想的展開の落差がちょっと惜しいですが、最後まで面白く読みました。2007/05/14
おばけ
1
いつもながら 独特の世界観。2014/09/15