内容説明
「かれんと付き合ってるって本当?」花村のおばさんからきかれ、とっさに否定してしまった勝利。誰も傷つけたくなくて、ふたりの関係を守りたくて、ずっと秘密にしてきた。それが間違いだったのか。勝利へ思いをよせる星野りつ子の存在も、かれんには言えなくて。後ろめたいから言えない。言えないからますます後ろめたい。秘密は増殖する。悩み多きシリーズ8弾。
著者等紹介
村山由佳[ムラヤマユカ]
1964年7月東京都生まれ。立教大学文学部卒。会社勤務等を経て、93年「天使の卵」で第六回小説すばる新人賞を受賞。03年「星々の舟」で第一二九回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hisato
82
再読了です。途中、りつ子の痛々しさが尋常じゃない。でも、これは気持ちもよく分かるなぁ。登場人物の中で一番、先が見えない状態に陥ってしまってますね。だんだん、勝利とかれんよりもりつ子が幸せになってくれないかなぁという気持ちになってきました。でも、そうなると登場頻度が減ってしまうのかも…。タイトルの優しい秘密以外にも、色々秘密が出てきて、今後どうなっていくんだろう。2016/12/10
優愛
77
マスターには未だ敵わないコーヒーの味。これを越えるのはきっと勝利が変わった時なんだろうな。綺麗に片付かない散りばめられた数々の不安が今になって勝利やりつ子、かれんの心を惑わす。皆優しすぎるから遠回りをして誰一人傷つけない方法を探し求めて。時には疲れてほんの少し突き放してしまったりと悲しい矛盾に取り込まれている。嫌われないように、傷つけないように。そんな温かな気遣いさえも刃になると言うならどうすればいいのか。恋愛には明確な答えがないのが悩ましい。皆幸せに、なんて難しいけれどせめて進んでほしい、少しずつ前へ。2014/12/11
とら
68
この今回のいざこざについて、多分様々な人で意見が分かれると思う。年齢でもそうだし、性別でもそうだし、その人の暮らしだってそうだ。捉え方は絶対に異なる(まあこの小説と言う媒体の場合、今まで読んできた中での好きなキャラとか嫌いなキャラとかで判断してしまうのかもしれないけれど)。因みに自分は丈の所で京子に対してと、星野のその場の流れでって言う所にはやはり複雑な気分にさせられた…圧倒的に人生経験が足りないなあ自分…結局星野が勝利から離れられたのかは分からないが、まあ改めて考えれば、星野も純粋な人間だったんだなと。2014/03/13
えりこんぐ
64
シリーズ8冊目。女たち...ズルいだろ。京子ちゃんも星野りつ子もかれんもさ、相手に甘え過ぎ。そして男はかっこつけ過ぎ。丈もショーリも怒っていいとこだからね、それ。気づけばショーリとかれんの交際が1年半?ほとんど進展がないような💧【積読79】2020/09/10
万葉語り
60
再読。人を傷つけないためにとついた嘘が次の嘘を呼び、ほころびを繕うためにさらなる嘘が重なる。星野りつ子の壊れっぷりが気の毒で中途半端にいい人を続けるショーリが嫌いになりそうな巻だった。かれんは転職に向け着々と足場がためをしている。これが5歳の差だろうかと思った。2016-882016/04/05