出版社内容情報
殺人事件の時効成立目前。現場の刑事にも知らされず、巧妙に仕組まれていた「第三の時効」とはいったい何か? 刑事たちの生々しい葛藤と、逮捕への執念を鋭くえぐる表題作ほか、全六篇の連作短篇集。笑わない「青鬼」朽木、公安出身の「冷血」楠見、ずば抜けた直感力を持つ「天才」村瀬。F県警強行犯係の男たちの強烈な闘争心と矜持を圧倒的な熱量で描き出す、本格ミステリにして警察小説の金字塔。
内容説明
殺人事件の時効成立目前。現場の刑事にも知らされず、巧妙に仕組まれていた「第三の時効」とはいったい何か!?刑事たちの生々しい葛藤と、逮捕への執念を鋭くえぐる表題作ほか、全六篇の連作短篇集。本格ミステリにして警察小説の最高峰との呼び声も高い本作を貫くのは、硬質なエレガンス。圧倒的な破壊力で、あぶり出されるのは、男たちの矜持だ―。大人気、F県警強行犯シリーズ第一弾。
著者等紹介
横山秀夫[ヨコヤマヒデオ]
1957年東京都生まれ。上毛新聞社記者を経て、91年「ルパンの消息」が第九回サントリーミステリー大賞佳作となり、独立。98年「陰の季節」で第五回松本清張賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
643
う~~~む、どうしてこうも当方の推理が1つも当らないのか(失笑)。「臨場」に続き完敗です。まあそれは良いとして、いくら管理職だからといって、天才達(朽木、楠見、村瀬)を管理しようとするのはいただけませんなぁ、田畑課長!気持ちはわかりますがネ。そらぁ疲れるワケですよ。そもそも天才達は“管理”とか理解できませんからネ(笑)。2016/11/03
サム・ミイラ
628
今まで読んだ多くの作家作品の中で最高の一冊だと断言します。短編が苦手だった私は横山秀夫によってその面白さや可能性に目覚めましたが、そのきっかけになった作品でもあります。どの物語も恐ろしいまでの完成度でまるで長編小説を読んでいるかのような醍醐味。中でも表題作の大どんでん返しの衝撃は友人に語って聞かせるくらい凄かった。っていいのかな?管理部門小説の傑作「動機」や「影の季節」とは異なりいわば王道の刑事による犯罪捜査が主題の物語です。警察小説が好きな方なら絶対読んでおかねばならぬ金字塔です。ありがとう横山秀夫!2014/07/02
再び読書
410
F県警捜査1課の色々な捜査のアプローチのパターンを見せている短編の積み重ねであるが、全部を読むと細部がよりよく分かる。それぞれの班長や課員同士の手柄争いも見せながら、事件解決に対して向かっていく鋭い視線が印象的。表題のテーマが霞むほど、他の作品も秀逸。2012/10/13
kaizen@名古屋de朝活読書会
351
第一の時効が,事件が起きてからの年数。第二の時効が,事件が起きてからの年数から海外にいた期間を引いた年数。ここまではよく知られている。第三の時効とは。そんな裏技があったとは。現実にそうなのかどうかは確かめてないが、なるほどと思える展開。推理小説の妙。2013/09/03
yoshida
338
F県警強行犯シリーズ。一班から三班までの個性溢れるメンバーがしのぎを削る連作短編集。それぞれの班長である朽木、楠見、村瀬のアクの強い個性とぶつかる矜持。そして犯人を追い詰める様は、横山秀夫作品の真骨頂であろう。事件の謎も予想がつかず、実に読ませる。「クライマーズ・ハイ」でもそうだが、横山秀夫作品に共通する登場人物の泥臭さや矜持の衝突、圧倒的な熱量は読んでいて強烈な印象を残す。凶悪犯を追う刑事たちの熱い気持ちが顕れる場面も実に良い。ぞっとする犯行もあるが、どの短編も読み応えあり。充実の短編集だと思う。2019/02/09