出版社内容情報
気難しい社長の札幌出張に随行を命じられた風間。うまくいけば、大出世! だが、失敗すれば……。働き方のヒントは昭和の名作にあった。サラリーマン小説の原点となった傑作短編集。(解説/北上次郎)
源氏 鶏太[ゲンジケイタ]
著・文・その他
内容説明
入社10年の風間京太は、気難しい社長の出張に随行を命じられた。お眼鏡に適えば、大出世。機嫌を損ねたら、お先真っ暗。社長は現地にいる元愛人との逢瀬を企んでいるが、夫人からは二人の密会を阻止せよ、と厳命されており…。風間の選択は!?(「随行さん」)ほか、サラリーマンの哀歓を描く全10編。不条理な職場や理不尽な上司に喘ぐ、若い読者こそ必読。働き方のヒントは、昭和の名作にあった!
著者等紹介
源氏鶏太[ゲンジケイタ]
1912年、富山県生まれ。富山県立富山商業高等学校卒業後、住友合資会社に入社。会社に勤めるかたわら執筆活動を行い、51年、「英語屋さん」他で第25回直木賞を受賞。56年、退職し小説家に専念。長年の会社員生活をもとに企業を舞台とした「サラリーマン小説」を多数発表し、人気を得る。71年、吉川英治文学賞受賞。85年、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Smileえっちゃん
55
サラリーマンの哀歓を描く10篇からなる短編集。一時サラリーマンに憧れ、源氏鶏太さんにハマった時があったがこれは読んでなかった。1951年初刊とか…時代が違い、お金の価値も違ってるけど、短編なので軽く読めました。2022/01/14
康功
34
私の故郷、富山県の直木賞作家であるがために、突然読みたくなった。作者のサラリーマン生活をヒントに繰り広げられるエピソードは、ノスタルジックな短編小説ばかり。60年も前の小説が、数年前に文庫になっても、古さを感じさせないのは、今も昔もサラリーマンの悩み事は大変わりしないという事であろうか、、、作品の中では「流氷」「英語屋さん」が好きである。サラリーマン生活を終えて、思い出に浸りたくなったら、再読しよう。それまで長い年月を大切に本棚で保管しておきたいと思った。 自分だけが辛いんじゃない!サラリーマン頑張れ‼︎2019/06/10
ひより
19
昭和20年代のサラリーマンってこんな感じだったのか。 時代を感じさせる描写がちょこちょこ出てきて興味深かった。 だけど人間模様は今も昔もそう変わらないものなのだな。 こんな人がそばにいたらイヤだなぁと思う人が結構登場するのだけど、読み進めていくうちになんだか気の毒に思えてつい同情してしまうのは著者の筆力ゆえか。2024/02/20
tokko
19
新潮社から出ていた『The Penguin Book of Japanese short tories』には入っていなかったけれど、オリジナルには収録されていたんですね。この「英語屋さん」は入っていて欲しかったなぁと思います。ところで源氏鶏太さんは富山出身だったんですか、知りませんでした。作中に富山弁では「イ」を「エ」と発音するというくだりがありますが、富山出身の家内に聞いたら「んなアホな」という顔をされました。方言も時代とともに標準化されているのでしょうか。2019/09/10
ぼっちゃん
17
学生時代よく読んでいた源氏鶏太の復刻版ということで読んだ。時代が戦後少したってからの会社の話なので今では考えられない箇所もあるが、「もう手遅れ会」で昔の帳簿を見てその時の仕事を思い出すあたりは気持ちがわかる。今回はデビュー初期の短編十編だったが、長編も出るなら読んでみたい。2018/08/25