集英社新書<br> 科学者は戦争で何をしたか

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集英社新書
科学者は戦争で何をしたか

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  • サイズ 新書判/ページ数 183p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087207996
  • NDC分類 407
  • Cコード C0210

出版社内容情報

「戦争する国」へ突き進もうとする政治状況に危機感を抱く著者が、過去の戦争で科学者が果たした役割を分析。ノーベル賞学者ならではの洞察力で、二度と同じ道を歩まないための方策を提言する!

内容説明

ノーベル賞科学者・益川敏英が、自身の戦争体験とその後の反戦活動を振り返りながら、科学者が過去の戦争で果たした役割を詳細に分析する。科学の進歩は何の批判もなく歓迎されてきたが、本来、科学は「中性」であり、使う人間によって平和利用も軍事利用も可能となる。そのことを科学者はもちろん市民も認識しなければならないと説く。解釈改憲で「戦争する国」へと突き進む政治状況に危機感を抱く著者が、科学者ならではの本質を見抜く洞察力と、人類の歴史を踏まえた長期的視野で、世界から戦争をなくすための方策を提言する。

目次

はじめに
第1章 諸刃の科学―「ノーベル賞技術」は世界を破滅させるか?
第2章 戦時中、科学者は何をしたか?
第3章 「選択と集中」に翻弄される現代の科学
第4章 軍事研究の現在―日本でも進む軍学協同
第5章 暴走する政治と「歯止め」の消滅
第6章 「原子力」はあらゆる問題の縮図
第7章 地球上から戦争をなくすには

著者等紹介

益川敏英[マスカワトシヒデ]
1940年愛知県出身。理論物理学者。1967年名古屋大学大学院理学研究科博士課程修了。京都大学基礎物理学研究所教授、同大学理学部教授などを経て、名古屋大学特別教授・素粒子宇宙起源研究機構長、京都大学名誉教授。2008年ノーベル物理学賞受賞。専門は素粒子理論。九条科学者の会呼びかけ人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kaoru

88
ノーベル賞受賞者益川先生の著書。恩師坂田昌一氏の「科学者は科学者として学問を愛する以前に、まず人間として人類を愛さなければならない」と座右の銘に「九条科学者の会」の設立に携わり、人類を破滅させかねない数々の科学者の発明に警鐘を鳴らす。優秀な頭脳が動員されたマンハッタン計画やジェーソン機関の存在はもとより、現代でも民事にも軍事にも使えるデュアルユースの問題は大きい。戦争体験のない安倍前総理の暴走、若者たちが個人主義的になって議論したがらないことに大きな危機感を抱く。核の脅威は高まっていることなど実に示唆に⇒2021/08/12

壱萬弐仟縁

56
益川先生は、夏目漱石が東大から博士号をくれてやるというやり方に反発したように、ノーベル財団の偉そうな態度に内心反発していた(12頁)。権威主義って何なのかね? 受け取るのが当たり前という態度が気に入らない。焼夷弾:爆弾よりも火災で焼き払う方が効率がいいと、戦争中に米軍が開発した殺傷兵器(17頁)。恩師の坂田昌一先生が科学者は科学者以前に人間として人類を愛さねばならないと言われたらしい(19頁)。2016/03/11

inami

43
◉読書 ★3.5 5歳の時、家の屋根を突き破って土間にコロコロと音をたてて転がってきたものは不発の焼夷弾だった・・そんな強烈な経験をもつノーベル物理学賞受賞者益川さん。本来は平和利用されるべき科学技術が、軍事利用されないために、生活者の目線で多方面で活動している。これまで「マンハッタン計画(原子爆弾)」、ベトナム戦争で暗躍した「ジェイソン機関」など、多くの科学者が巻き込まれてきた。「科学に国境はないが、科学者には祖国がある」とはパスツールの言葉。否応なく国策を支援する組織に半強制的に組み込まれてしまう。2021/04/02

けんとまん1007

42
素晴らしい一冊。益川先生の恩師の言葉「科学者である前に一人の人間であれ」を、実践されている。数年前、富山大学で講演された時に、参加することができて感銘を受けた記憶がある。いい意味で、ご自分の信念を曲げない方でもある。科学が、益々、政治や経済に取り込まれつつある、今の状況の中で、何ができるのか?どこに視点を置き、立ち位置を決めるのかが、重要性を増している。科学者だからこそできること、そして、一人の人間として、後世の世代のことを真摯に考えている姿勢には学ぶべきものが多い。2016/02/20

常磐条

39
部分拾読。以下引用。『朝永(振一郎)先生は戦時中、電波兵器の研究に動員されていました。戦時下での動員に抵抗すれば、たちまち非国民として投獄されてしまいます。(略)電波の出力の関係を解析する部分を、限りなく一般的なところでまとめ、核心部分をうまくごまかしていたのです。(略)表面上は軍事研究に協力して成果を出している振りをしながら、肝心なところは手渡さず、毒にも薬にもならない研究をして、「はい」と涼しい顔で論文を提出していた(略)私は、それこそが本来の科学者の知恵だと思います』2016/01/20

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