感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あらあらら
8
6年前の本。当時、郵政関係の仕事をしていて読みあさった1冊。一点指向のタイトルでしっかり一冊まとめていて歴史好きには違った切り口でいいかも2014/11/04
Honey
7
現代までも続く世界の支配層にかかわるハプスブルクとは…みたいな感じで、手に取ったけれど、中世の産業史のなかでの郵便制度の誕生と発達の様子がものすごく活き活き描かれていて、大変面白く、半ばわくわくしながら読みました。ハプスブルク家自体についてではなく、ハプスブルク帝国を背景にした歴史物語、誰が読んでも面白いのでは?2021/02/06
富士さん
6
再読。菊池さんの本は多くを二次資料に寄っているものが多いので純然たる歴史学とは言い難く、文学の一環と言った方がよいように思いますが、その代わり学的な規律から逃れたテーマ選びの自由さがとても魅力的です。本書もドイツで郵便事業を請け負ったタクシス家を中心にヨーロッパの郵便政策の発展を跡付けています。その中には、時間順守・時計中心の心性の発達とイタリアでの郵便事業の開始との関連を指摘したり、今のネットと同じように新規な手紙というメディアにはまる人々だったりと興味深いものもあり、得るものが多くあります。2018/03/31
in medio tutissimus ibis.
3
活版印刷が情報の蓄積量を増やした一方、近代郵便制度はその伝達量を増やした革命だった。古代帝国の駅伝制度と異なる、リレー運搬、利用者の無差別、定期性、固定した宿駅コースとその伸長、料金の定額と公表、そして信書の秘密に特徴づけられるそれは、ハプスブルグ帝国の移動王権が欧州中と情報をやり取りするために生まれ、ウェストフェリア会議の参加者が本国と繋がったために広がり手紙の世紀を齎し、その過程で一つの王権に奉仕する存在から、民衆のためのインフラへの変身を遂げた。その配達システムは新聞や旅行という新メディアを育んだ。2021/06/28
あくび虫
2
めちゃめちゃ面白かったです。一気に読んでしまった。整然と読みやすい文章と構成は美しいですし、「郵便制度」というものを軸に歴史を裏からなぞるのは純粋に楽しい。ヨーロッパ全土を巻き込む壮大さの反面、「郵便制度」が確立していく様はサクセスストーリーを見ているようで一喜一憂しながら読みました。全体的に知的で品があります。2018/10/13