内容説明
人間の抱く感情のなかで、もっとも激しく破壊的なのは「憎しみ」の気持ちだろう。この感情はどこから来るのか―広い視野と鋭い洞察力をもって生涯この問題と取り組んできたアルノ・グリューンは、その根源を子ども時代の親との関係に見いだす。親の愛情に全面的に依存して生きるしかない幼い子どもは、親が無意識に求める要求にたいし、本来の自分を排除してでも応えようとする。こうして失われた自分自身との関係を、誰もが一生の課題として抱えて生きている。本書は、グリューンがインタビューに答える形で、こうした根源的な人間関係に正面から光をあて、そこから現代社会の問題を、平易に解き明かす。
目次
第1章 自分にたいする裏切り―憎しみとテロの根源
第2章 「ねじ曲げられた」現実―本来の自分に代わる見せかけ
第3章 なぜ真の愛情は耐えがたいのか―身近さと温もりを追い求める、満たされない気持ち
第4章 本来の自分にたいする憧れ―失われた「自分の中の他人」を探して
第5章 もうひとりの自分―東部ドイツの極右過激派
第6章 服従―権力への順応
第7章 責任を引き受ける―罪と罪悪感は異なる
第8章 生き方は自分で決める―「負け組」で幸せに生きる
第9章 憎しみから逃れる道―人間らしく生きるための勇気
第10章 人間にたいする情熱―生涯のテーマ
著者等紹介
グリューン,アルノ[グリューン,アルノ][Gr¨un,Arno]
1923年ベルリン生まれ。精神分析学者。1936年、ナチの迫害を逃れて家族とともにアメリカに亡命。ニュージャージー州ラトガース大学で教える。著作多数。ヨーロッパ各地で今もなお精力的に講演活動を続けている。スイスのチューリヒ在住
上田浩二[ウエダコウジ]
1947年生まれ。東京大学卒業、大学院修士課程修了。ベルリン、ウィーンに留学。早稲田大学教授、筑波大学教授を経て、ベルリン日独センター副所長。ベルリン在住
渡辺真理[ワタナベマリ]
上智大学文学部史学科卒業。ドイツ語会議通訳・翻訳家。NHKテレビや民放をはじめ、第一線で活躍中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tomagla
きくえ
いたち野郎
よぞ
スタビライザー