内容説明
二〇〇二年九月、日朝首脳会談が開かれ、国交正常化交渉がスタートした。だが、会談の席上で金正日国防委員長が「拉致」の事実を認め、謝罪したことで、事態は急変する。さらに、二〇〇三年三月に始まった、米英軍による対イラク攻撃の推移次第では、ブッシュ大統領に「悪の枢軸国」と名指しされた北朝鮮をめぐる北東アジア全域の安全保障が、未曽有の危機にさらされる可能性すら出てきた。本書では、第二次大戦以後の朝鮮半島の歴史を概観するとともに、冷戦終結後の、日米安保体制に代わる北東アジア平和秩序のモデルを提示した。これからの日朝関係を考える基本的な視座を獲得するための入門書でもある。
目次
序章 なぜ国交正常化交渉が必要なのか
第1章 敗戦と解放の逆説―一九四五~四八年
第2章 日韓関係と日朝関係―一九五〇年代~六〇年代
第3章 激変する朝鮮半島と日朝関係―一九七〇年代~九〇年代前半
第4章 日朝関係の「克服」に向けて―一九九四年の危機以降
終章 日朝関係の「克服」と「北東アジア共同の家」
著者等紹介
姜尚中[カンサンジュン]
1950年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。東京大学社会情報研究所教授。専攻は政治学・政治思想史
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感想・レビュー
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James Hayashi
28
朝鮮半島の太平洋戦争後の歴史を紐解いている。新書であるため深入りしておらず読みやすいが、物足りなさも感じる。大まかな南北コリアの生い立ちを知れるのは有益であったが、副題のーなぜ国交正常化交渉が必要なのかーは読み取れなかった。03年初版で金帝国の様相は変わったが、米国との対峙、拉致問題などは変わらない。反対に日韓の関係はより難しくなっており、日本独自の北への対応はより難しくなっている。竹島を含め過去の対応の悪さが現状を表している。2018/07/26
しゅんどーん
1
2002年9月、日朝首脳会談が開かれ、国交正常化交渉がスタートした。だが、会談の席上で金正日国防委員長が「拉致」の事実を認め、謝罪したことで、事態は急変する。さらに、2003年3月に始まった対イラク攻撃の推移次第では、北朝鮮をめぐる北東アジア情勢が、未曽有の危機にさらされる可能性すら出てきた。それを受け本書では、日米安保体制に代わる北東アジア平和秩序のモデルを提示する。2017/08/20
カネコ
1
◎2012/08/02
ろく
0
やや韓国側の立場よりである気がするものの、平等な立場で戦後から現在までの日米朝の関係を解説してあり、時代の経緯がざっくり理解できるという印象。とはいえ、日朝関係は全くスル-してきているだけに、この内容でもぎぶりそうになった。2013/03/20