内容説明
1929年、直木三十五『本朝野士縁起』でデビュー以来、『銭形平次捕物控』『夢介千両みやげ』『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』をはじめとする数々の時代小説の名作に挿絵を描きつづけてきた現役最長老の絵師・中一弥。吉川英治、野村胡堂、山本周五郎、山手樹一郎、山田風太郎、村上元三、海音寺潮五郎、司馬遼太郎、池波正太郎、有吉佐和子、藤沢周平といった大輪のかたわらで、一筋に己の道を貫いてきた奇跡の人生をたどりながら、日本の時代小説のもう一つの歴史を浮き彫りにする。
目次
第1章 幼少期、修業時代
第2章 新人時代
第3章 独立、そして結婚
第4章 妻の死
第5章 戦争
第6章 昭和二十年代
第7章 昭和三十年代
第8章 昭和四十年代、池波正太郎の時代
第9章 昭和五十年代以降
著者等紹介
中一弥[ナカカズヤ]
1911年、大阪府北河内郡大和田村(現・門真市)生まれ。挿絵画家。1927年、十六歳のときに小田富弥に画才を認められ、弟子となる。1929年、直木三十五『本朝野士縁起』で挿絵デビュー。以後、七十年以上にわたって、『銭形平次捕物控』『夢介千両みやげ』『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』をはじめとする、数々の時代小説の名作に挿絵を描きつづける
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感想・レビュー
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シブ吉
47
挿絵画家として、70年以上の長きにわたり数々の時代小説の挿し絵を手掛けた「中一弥」さん。その幼少期から現在までの人生を振り返った本書は、さしづめ「挿絵の昭和史」と言えるほど興味深い話が多く、とても楽しめました。私が初めて中一弥さんの名前を知ったのは、池波正太郎さんの「剣客商売」でした。それまで時代小説を読まなかったものの、平積みされた文庫を手にした時の、表紙絵から発せられる「この本はおもしろいぞ」という感覚に惹かれ、実際に読み始めたら「もう止まらなかった」事を思い出しました。中さんの挿絵は、素晴らしい。2013/11/04
さとちゃん
4
本屋さんで何となく手にして、時代小説の挿絵画家さんの聞き語りなんだ、と興味を引かれて読みました。中氏の人生を振り返ったものですが、昭和の挿絵画家史、とも言えそう。挿絵としての立ち位置、印刷物としての技術、それらを意識して描かれていたのが伝わってきました。2024/03/15
けいちか
2
逢坂剛さんのお父様でいらっしゃる、中一弥さんの自伝的な話をリライトした新書。単なる自伝ではなく、昭和からの挿絵画家史にもなっているし、逢坂剛さんについても父親からの目での話が分かる一粒で何度もおいしい本。2012/09/06
慧
0
★1/22004/06/09