内容説明
ドミトリアスの戴冠式で、亡国・ギウタ最後の皇女と同じ、カザリナの名で、バルアン王子の正妃として披露されたカリエ。晩餐会にも出席したカリエは、同席したヨギナ総督・シャイハンに、その素性を追及されてしまう。その場は乗り切ったが、会の後、別室に現れたサルベーンによる、聞き覚えのない言語での語りかけに、カリエは一瞬、真っ白になる。そして、彼女の口から出た答えとは…。
著者等紹介
須賀しのぶ[スガシノブ]
1972年11月7日生まれ。上智大学文学部史学科卒業。『惑星童話』で1994年上期コバルト読者大賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まりもん
23
ビアンは北公と手を組むような状態でバルアンと離れた行動。カリエはマヤラータという立場で何が出来るのかを考え始めた。また、エドの紹介でラクリゼがバルアンのもとへ来たらバルアンがラクリゼにあんなに夢中になるとは意外だった。そんな時にサジェが死産、そして死亡とは。 最後に極秘でリトラに向かう途中に海賊に襲われたカリエ達。忙しい展開になりそう。2012/08/04
baboocon
18
バルアンとのルトヴィアへの旅は、カリエの立場、そしてバルアンに対する見方を大きく変えた。目を覚めさせるような出来事がないと、なかなか人って歪んだフィルターで他人をみていることに気づかないもの。まだ若いカリエもそうだった。けれど、気づいて変われる素直さは流石というべきか。ラクリエがこういう形で大きく絡んでくるとは思わなかった。そしてサジェ…。人は自分の意志で決断し行動したつもりでも、所詮神の掌で転がされているだけなのか…?2012/03/08
p.p.
16
バルアンの正妃、ギウタ皇女カザリナとして唐突に紹介されたカリエ。シャイハンは「証拠を見せよ」と息巻くが、呼び出されたサルベーンはギウタ語で話しかけ、ヨギナ陥落の記憶をカリエから引き出す。彼女は真実カザリナその人だった。式典も終わりインダリ宮に戻った彼らを、ザカールの女性ラクリゼが迎える。バルアンはラクリゼに溺れ、バルアンに顧みられず、さらにカリエの生存と正妃の件を知らされたサジェは、母子ともに死産となる。シャーミアとなったナイヤも同様にバルアンの一挙一動に心を左右され、カリエは誰に対しても複雑な心境。2012/05/31
茅瀬
14
この著者が書く人物は、安易に良い人で終わらせようとしない生々しさがあって胸が詰まる。貫く潔さと痛々しさが随所に散りばめられてる・・・と、マジメな事考えてたらアトガキのおさんぽマヤールに脱力。。。2012/05/02
じぇりい
12
ラクリゼとの再会。彼女に骨抜きにされるバルアン。ルトヴィアでビアンから言われた一言でこれまで受け身で流されてきた自分を変えようとするカリエ。たくさん登場人物がいる割に「この人誰だったっけ?」と思う人がいない。それぞれのキャラクターがしっかりと物語の中で重要な役割をこなしていると思う。2021/04/26