内容説明
偏見のない子どもの心だけが出会えたりゅうの本当の心。なぜ怖がるの?なぜ嫌うの?なぜいじめるの?「ぼくは、ね、おまえさんをいじめはしない。また、だれか、いじめようとしたっても、かばってあげる。」凍りついた心は、優しい子どものこの言葉に解け出し、やがて涙の川に…。
著者等紹介
浜田廣介[ハマダヒロスケ]
1893年山形県高畠町に生まれる。早稲田大学在学中に大阪朝日新聞の懸賞新作お伽話に応幕した『黄金の稲束』が一等に入選。それを機に児童雑誌『良友』に寄稿を始める。早稲田大学英文科卒業後、『良友』『幼年之友』の編集者を経て1923年より作家活動に専念。『むく鳥のゆめ』『ないた赤おに』など1000篇に及ぶ童話、数多くの童謡を残し、日本のアンデルセンと称される。1973年80歳で永眠。1989年故郷の高畠町に浜田広介記念館が開設された
植田真[ウエダマコト]
1973年静岡県生まれ。雑誌『イラストレーション』ザ・チョイス1998年度年度賞大賞を受賞。書籍装画・挿絵を中心に多方面で活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tokotoko
55
このお話を書かれた浜田廣介さんは、数多くの童話や童謡を生み出され、日本のアンデルセンって呼ばれています。絵を描かれた植田さんは、何と!浜田さんがお亡くなりになった年に、生まれた方です。純和風だった昔話が、植田さんの柔らかい感性で、世界のどこかにある村で起きたお話、みたいになってます。絶妙の遠近感の絵のおかげでね、まるでその村の片隅から、このお話の行く末をそっと見守っているような感覚も味わわせてもらえます。こんな風に、昔話が素敵に生まれ変わって、どんどん受け継がれていくのも嬉しいなぁー!って思いました。2015/02/19
小夜風
29
【図書館】読友さんレビューより。浜田廣介さんの有名な童話を、植田真さんが描いていたとは知らず、驚きました。和風のお話に洋風な植田さんの絵がどう合わさるのかと思いましたが、とても優しく、穏やかで素敵な絵本になっていました♪少し古風な文の素敵なお話を、こんな風に現代の画家さんにたくさん描いてほしいです♪2015/02/25
のり
18
りゅうというだけで 人から恐れられ嫌われているが、ひとりの子供だけは優しく接してくれることに泣く龍。涙がかわのようになることも幻想的でいい。終わりがもっと素敵なら尚よかったな。2019/01/24
椎奈
16
【図書館本】わたしはこの絵本好きです。「りゅうは怖い」と大人も子供も皆が思っている中、ある男の子はそうは思ってない様子。現実世界、主に大人たちの中よりも小学校や中学校、高校であるような話。悪い噂を一度聞くとその人の本質がそういう風に思える。でも実際話してみると噂は偽りだったということを短い人生の中で幾度もあった。それがこの本では「りゅう」が恐れられる存在として描かれており、色々なことに当てはめることができた。噂を鵜呑みにしてはいけないだとか、自分の目で見たものを信じるだとかを感じる内容だった。2015/04/10
はな
15
浜田廣介作の有名すぎる話ではありますが、植田真さんの絵で描かれると、いっそう現代風の、繊細なものがたりに代わる気がします。にっぽんのお話という風情を取り払って、いかにも今にありそうな、無国籍な印象が醸し出されることで、かえって伝わることもあるのかもしれない。賛否は分かれるかもしれませんが、優しすぎる繊細な心と、周りに流されない強い心をあわせもった少年とりゅうの交流は久しぶりに佳いものに触れた心地がしました。ふるくからある類書とも読み比べてみようと思います。2013/07/04