失われた時を求めて〈11〉第六篇 逃げ去る女

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  • サイズ A5判/ページ数 495p/高さ 23cm
  • 商品コード 9784081440115
  • NDC分類 953
  • Cコード C0397

内容説明

アルベルチーヌが落馬して死んだ。闇の底へと、私から逃げ去ったのだ。鈴木道彦個人全訳決定版。

著者等紹介

プルースト,マルセル[Proust,Marcel]
パリ郊外のオートゥイウに生まれる。父親は予防医学の権威で敬虔なカトリック教徒。母親はユダヤ教徒。2歳下の弟ローベルは、父と同じく医学を修め、後に医学部教授となる。9歳のときに喘息の発作を起し、以後一生を通じてこの宿痾に悩まされる。また思春期のころから徐々に同性愛の傾向を深め、これが彼の作品に特異な主題と雰囲気を与えることになる。若いころから社交界に出入りする一方で、文学を天職と見なして、自分の書くべき主題を模索。いくつかの習作やラスキンの翻訳などを発表した後に、自伝的な小説という形で、自分自身の探求を作品化する独自の方法に到達。以後は外部の物音を遮断したコルク張りの部屋にこもって、ひたすらこの『失われた時を求めて』の執筆に没頭する。第1篇『スワン家の方へ』が1913年に刊行された後、第一次大戦のために出版は一旦中断される。プルーストは対戦中に、大幅な加筆を行い、新たな作中人物アルベルチーヌを導入。戦後に刊行された第2篇『花咲く乙女たちのかげに』(1919)はゴンクール賞を受賞。しかし、もともと病弱の彼は、全7篇の長編の第4篇『ソドムとゴモラ』を出版したところでついに力つきて他界し、それ以後の部分は遺稿にもとづいて死後に刊行されることとなる。小説による小説の反省という面を含んだこの方法的な作品は、後の文学に決定的な影響を与え、今世紀最大の古典となった
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

扉のこちら側

84
初読。2015年1074冊め。【58-11/G1000】副題通り、語り手とアルベルチーヌに訪れる決定的な別れ。この巻は二人の別れにまつわる気になる名文が多かった一方で、巻半ばでもう彼女のことを忘れている語り手の薄情さが際立っているとも思う。本筋と関係ないところでは、作中にシャープペンシルが出てくるがこの時代にもうあったのだな、と。2015/10/12

NAO

43
語り手がアルベルチーヌの帰宅を画策している間に、アルベルチーヌは不慮の事故で亡くなってしまう。語り手が死後もアルベルチーヌの行動を執拗に調べるのは、嫉妬からというより、そうすることでのみアルベルチーヌとつながっていられるからだ。それでも、心の傷もいつしか癒え、彼女への愛も消えていく。この巻は、語り手の愛が忘却の彼方へと消えていく過程を描くとともに、見る人によって全く違う側面を浮かび上がらせるアルベルチーヌの多面性をも描いている。人は誰でも、誰かのすべてを知っているというわけではないのだ。2015/10/16

kinka

12
この小説を読んでいると、決め付けとか、紋切り型とか、つい陥ってしまう日常の罠に気づかされて足元が竦む。死して尚、多様な面を見せるアルベルチーヌ、サニエットに年金を出してやるヴェルデュラン夫妻、実は舞台美術の天才を持つ「さんざん」君、語り手の知らなかった罪を告発されるサン=ルー。人の側面は一つじゃないし、見方によっても変わる。そして更に厄介なことに、人を見ているこの「私」ですら、今日の私であり続けることはないのだ。多面的であり、常に変化し成長したり退化したりもする、こんなものを言葉に固定することの難しさよ。2015/12/06

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