内容説明
アルベルチーヌが落馬して死んだ。闇の底へと、私から逃げ去ったのだ。鈴木道彦個人全訳決定版。
著者等紹介
プルースト,マルセル[Proust,Marcel]
パリ郊外のオートゥイウに生まれる。父親は予防医学の権威で敬虔なカトリック教徒。母親はユダヤ教徒。2歳下の弟ローベルは、父と同じく医学を修め、後に医学部教授となる。9歳のときに喘息の発作を起し、以後一生を通じてこの宿痾に悩まされる。また思春期のころから徐々に同性愛の傾向を深め、これが彼の作品に特異な主題と雰囲気を与えることになる。若いころから社交界に出入りする一方で、文学を天職と見なして、自分の書くべき主題を模索。いくつかの習作やラスキンの翻訳などを発表した後に、自伝的な小説という形で、自分自身の探求を作品化する独自の方法に到達。以後は外部の物音を遮断したコルク張りの部屋にこもって、ひたすらこの『失われた時を求めて』の執筆に没頭する。第1篇『スワン家の方へ』が1913年に刊行された後、第一次大戦のために出版は一旦中断される。プルーストは対戦中に、大幅な加筆を行い、新たな作中人物アルベルチーヌを導入。戦後に刊行された第2篇『花咲く乙女たちのかげに』(1919)はゴンクール賞を受賞。しかし、もともと病弱の彼は、全7篇の長編の第4篇『ソドムとゴモラ』を出版したところでついに力つきて他界し、それ以後の部分は遺稿にもとづいて死後に刊行されることとなる。小説による小説の反省という面を含んだこの方法的な作品は、後の文学に決定的な影響を与え、今世紀最大の古典となった
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