ラテンアメリカの文学<br> 脱皮

ラテンアメリカの文学
脱皮

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 449p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784081260140
  • NDC分類 968

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

70
物語は旅する四人の男女を中心に進みます。彼らの人生から浮び上るのは”西洋”を移植されたメキシコやユダヤ人迫害の記憶。各人が語るその過去は積み重なるにつれ揺らぎ、名や時や場所を失って普遍性を帯びてくるよう。そして露わになるのは、戦争やユダヤ人迫害が繰返されるように、革命が秩序を生みまた革命が起きるそのリズムのように、人間は同じ行為を過ちを繰返すばかりなのだということ。それを嗤う裏に、人間達が自身や世界のために繰返す理想を求め脱皮する瞬間の輝きを、その挫折を慈しむ眼があってフェンテスがとても好きになりました。2021/10/28

三柴ゆよし

19
まるで蜘蛛の巣のような小説だった。人は、人の、知識の、国の、過去の関係性の網の目に捕えられ、動けば動くほどに自由を拘束され、そうして気付いたときには身動きとれなくなっている。これもう破滅の気配しかしないなと思っていたら、用意されいたのは「召しませ」とばかりのカタストロフ、しかもそれがみな××の××だったという、Y野Q作みたいなオチがつくのだからすげえよ。こうなった理由を2000字程度で説明せよとか言われてもお手上げするしかないのだが、でもなんというか、登場人物たちを待ち受ける審判の必然性については、(続)2012/09/07

スミス市松

14
物語に比してあまりにも厖大な言葉を浴びる感覚が終始つきまとう。混濁する人称や段落、さらにはある場面の言葉が別の時間軸の出来事あるいは作品それ自体をほのめかす自己言及的な言い回しに彩られた異様な文体は、まさに「鏡の回廊」と呼ぶにふさわしい。第二部冒頭に引用される「人の眼に映るあらゆるものが偽りである」というツァラの言葉の通り、本書を読むにあたっては“偽り”が重要なポイントとなる。すなわち、古典主義の贋物としてのマニエリスム。そしてマニエリスムがもたらす一切の西洋的価値観の転覆(ルネ・ホッケ)である。2018/04/10

saeta

13
テラ・ノストラ以来、5年振りのフエンテス。フエンテスって現代が舞台の作品も書いていたんだ!どういう経緯で共に旅する事になったのかが語られず小説が始まっていったが、時間軸を縦横無尽に巧みに語る様は、いかにも南米作品の面目躍如。特に、プラハ生まれのフランツの第二次対戦中のエピソードが読み応えがあったが。ハビエル夫妻のエピソードの中で、アントニオーニに触れている箇所があったが、あれはモニカ・ビッティとアラン・ドロンの「太陽はひとりぼっち」についてだな。ラストは夢落ちと解釈すべきか、読後にジワジワと余韻が来る。2022/06/01

m_s_t_y

4
過去現在を行ったり来たり。そして4人の男女の組み合わせがめまぐるしい。あと、視点となっている人間が特定できないので、ずっと気持ち悪い感じ。諍いが起こった辺りは面白かったのだけれど、第3部はもうカオス。そしてラストは何じゃこりゃ、と言う感じ。 作中に『アレクサンドリア四重奏』とか『石蹴り遊び』あと英米小説がたくさん出てくる。あとカタツムリも。登場人物4人の比喩みたいに。2012/01/03

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/67197
  • ご注意事項