ラテンアメリカの文学<br> 大統領閣下・グアテマラ伝説集

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ラテンアメリカの文学
大統領閣下・グアテマラ伝説集

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  • サイズ B6判/ページ数 315p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784081260027
  • NDC分類 968

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Gotoran

34
南米文学での魔術的リアリズムの創造に多大に貢献したと云うミゲル・アンヘル・アストゥリアス。本書は、19世紀前半、グアテマラの大統領、M.E.カブレーラの22年に亘る独裁政治を題材に著された「大統領閣下」と処女作の「グアテマラ伝説集」を収録。第1作品は、独裁政治の暗黒部に焦点を当て、ノンフィクション的なリアリズムで貫かれている。腐敗した政権の悪、横暴さ、理不尽さが生々しく強烈に伝わってきた。第2作品は、インデイオの物語や伝説、古代マヤ等をベースにしていて、まさしく魔術的リアリズムそのもの。2014/09/02

長谷川透

21
ラテン・アメリカ独裁者文学として必ずと言っていいほど名が挙がるのが本書『大統領閣下』である。ガルシア=マルケスの『族長の秋』のように文学的に凝った技法はなく、独裁者の恐怖を前面に描き、荒んだ社会における生き難さ、恐怖に対する慄きを真っ正面から描いている。大袈裟でも虚構でもない、全ては恐らく歴史の中で繰り返されてきたことだろう。アストゥリアスは亡命先で小説を書き続け、本書も脱稿から出版まで十年以上のタイムラグがあったそうだ。魔術的リアリズム云々よりも、こういった背景の方が心に残った一冊である。2012/11/28

おにぎりの具が鮑でゴメンナサイ

13
そもそもマジックリアリズムとは、・・・とは、・・・とは?いやもうよくわかんないっす。だいたいが暑くて湿度の高い、情熱が圧縮されて閉じ込められた、汗と血と精液にまみれた、発酵と腐敗の境界線が曖昧な、産まれることと殺されることのリスクが等しい、飯を食うこととセックスが近い、そこらじゅうで性器が剥き出しにされている、幻想的で勤勉に生きる正当性を否定されるような、なんかそういうおっそろしいくて儚くて猛スピードで駆け抜ける生命の姿で本能的で生々しい美しい人間のありようのような気がします。たぶん違うけど。2014/09/02

singoito2

10
岡本 信照「スペイン語の世界」で「魔術的リアリズム」と紹介されていたので借りてみました。たしかに「グアテマラ伝説集」はシュールレアリズムの影響を強く受けた独特の世界で、そうした表現手法の味わいを愉しめました。しかし、メインである「大統領閣下」は、独裁国家の暴力と不条理の犠牲となる人々を的確に描くこれ以上無いほどの手法として、あまりにも心を強く刺してくるのでした。なるほどノーベル賞にふさわしい作家だと思います。2024/01/30

AR読書記録

5
『族長の秋』のように独裁者の孤独が描かれているかと思ったんだけど、まだ独裁者は意気軒昂で外向きの力を大いに発揮しており、その内面への描写は多くはない。その力は、乞食から側近まで、少しずつ繋がりをもって次々に登場する人びとを、理不尽な状況に容赦なく追い込んでいくばかり。なかなか辛いですよ。小説から離れて考えたとき、やはり難しいのは無条件的な崇拝者、あるいは個人的受益者としての支持者の存在でなー。独裁者の鎧が脱がされるのはまだ先。訳文でしだいに→したいに→死体に→死体となるところ、すごい。原文はどうなんだろ。2016/09/20

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