ひかりのあめ

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  • サイズ B6判/ページ数 191p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784072407738
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

あかんぼうのおまえはおれを見たとたん、泣きわめくのをやめた。思わず、柵の間からいれてみた指を、おまえは手をのばして握ってきた。それも、すごくしっかりと。だれの指かわかったんだ、と思った。生まれて初めて、自分の身体に心臓があることを実感した――兄レックスは幼いころからずっと、妹のマリーナを魂の底から求めつづけてきた。マリーナも同じで、レックスさえいれば、他の男の子たちなどどうでもよかった。二人とも別の異性とつきあったりしたけれど、本当に求めていたのはお互いだけ。けれど、マリーナが16歳になった年、レックスが突然、自ら命を絶ってしまう。現実が受け止められず、ぼろぼろになるマリーナ。自分が原因だと信じたくなくて、必死に自殺の理由を探しはじめた彼女が最後に知った二人の宿命とは――。米国のカリスマ・ベストセラー作家の最高傑作ともいえる最新作。あまりにもせつなくて、あまりにも哀しくて、あまりにも美しい、至高のラブストーリー。

内容説明

マリーナとレックス―ふたりは魂の底から結びついていた。離れることなど考えられないくらい。離れたら、ふたりとも砕けてしまうくらい。けれど、ふたりは愛しあってはいけなかった。そして、突然、レックスは死んだ。

著者等紹介

ブロック,フランチェスカ・リア[ブロック,フランチェスカリア][Block,Francesca Lia]
L.A.タイムズのベストセラー作家。1989年、「ウィーツィ・バット」で鮮烈なデビューを飾り、全米の若者から熱烈な支持を得つづけている。ロサンゼルス在住

金原瑞人[カネハラミズヒト]
法政大学教授。翻訳家

田中亜希子[タナカアキコ]
千葉県出身
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

絹恵

26
彼に銃口を向けさせたのは彼女なのかもしれません。でも彼は彼女であったし、彼女は彼であったから、いちばん愛していて、いちばん愛してはいけなかった二人で、銃口を向け合っていたのだと感じました。その残酷さに終止符を打つには、ひかりのあめで出来た海に帰るよりほかはなかったのだと、彼は辿り着いたのだと思います。2014/08/22

しあん

20
最初は語り手が二転三転して訳が分からなかったけど、読み進めるうちにだんだんと見えてきた、物語が。狂おしくて美しい、思春期特有のとがった感じのする。そんな愛の物語だった。2019/02/22

星落秋風五丈原

15
二人は単にきょうだいとして仲がいいだけ?この疑問を胸に再度「おまえ」「あなた」と呼びかけた文章を読むと最初読み取れなかった感情が浮き出る。原題(Wasteland)と同じタイトルのT・S・エリオットの詩『荒地』と共通点を持つ。救済と再生というテーマ。詩の第一部のタイトル「死者の埋葬」とレックスの葬式の場面。詩に登場する長生きを願ったが不老を願わなかった「クーマエの巫女」とレックスの前に登場する女占い師とレックスの独白。語りの時制を入れ替えて過去と現実を一つの空間として並列化している事(「時間の空間化」)。2006/08/30

タカラ~ム

10
フランチェスカ・リア・ブロック。この作家の存在をやまねこ翻訳クラブ20周年記念イベントで訳者の金原瑞人さん、田中亜希子さんの紹介で知った。本書は残念ながら絶版で入手困難なので図書館で借りた。レックスとマリーナの兄妹の物語。レックスの死で浮き上がってくる二人の関係と秘密。兄の死の真相を追い求めるマリーナが知ることになる衝撃の事実。その全てが、美しい文章で描き出されていく。「面白い!」とのめり込むタイプの作品ではないけれど、「読んでみて」と進めたくなる作品だと思う。2017/10/31

vertigo

8
ちょっと邦題と装丁は乙女っぽくもってまわりすぎた感じで、原題のほうが似合ってる。音と光にあふれたリア・ブロックの世界だからこそ許される特別な兄妹の物語。兄に恋して壊れた女の子、今も心には兄のゴーストを抱え続けるマリーンを愛しぬき、彼女の地獄を一緒に覗きこめるウェストみたいなすてきな男の子を出せるところがリア・ブロックの「閉じてない」ところでとても素敵だと思うのです。2011/07/13

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