出版社内容情報
佐野 広実[サノ ヒロミ]
著・文・その他
内容説明
郊外の瀟洒な住宅街で、19年前に起きた一家失踪。謎の解明の前に立ちはだかったのは…忖度、同調圧力、自己保身、理由のわからない排除。そして時を隔てて、事件は連鎖していく。一人一人に問いを突きつけるサスペンス!江戸川乱歩賞受賞第一作。
著者等紹介
佐野広実[サノヒロミ]
1961年神奈川県生まれ。1999年、第6回松本清張賞を「島村匠」名義で受賞。2019年、第65回江戸川乱歩賞最終候補。2020年『わたしが消える』で第66回江戸川乱歩賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
345
王様のブランチBOOKコーナーで紹介されたので、読みました。佐野 広実、江戸川乱歩賞受賞作『わたしが消える』に続いて2作目です。本書は、モラハラタウンイヤミステリの佳作でした。江戸川乱歩賞受賞作よりも進化していると思われます。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003578662022/03/16
モルク
173
息子を殺害された母親の話と、失踪した家族の一人だという施設で育った娘が家族の真実をさがす…この2つは郊外にあるニュータウンで繋がってくる。この町には何かがある。「安心安全」という理想を掲げ、悪いことは町外から持ち込まれたもの、外の人がしたこと。この町を守るために住人は一致団結して異質なものを排除しなければならない。集団心理も加わり、自分もそれに乗らなければ排除されるかもという強迫観念。そして、この自分達にしか通じない正義が暴走する。先が気になり一気読みだった。2022/06/23
ちょろこ
157
問われる気分の一冊。安全安心をスローガンに掲げる町。住民はそれなりの富裕層で心理的安心感にも包まれそうな町。なのにそれとは正反対、幼児殺害事件と一家失踪事件が起きた町。つまりこの町はどこかおかしい。この町に隠されたものは何なのか…描かれていくのは集団心理、同調せざるを得ない圧力。村八分ならぬ町八分の世界。次第に増す怖気。正しい声をあげたくても右に倣えを突きつけられる恐怖。これはどんなコミュニティでも起こり得るところが怖い。善悪のボーダーライン、人としてどうあるべきか、常に問われる気分な、とある町の物語。2022/04/05
シナモン
145
高級住宅地で起きた児童誘拐殺人事件と、ある一家の失踪の謎を描く。安心安全の町づくり、すべては町のため。その裏にこんなおぞましいことがあったとは。狂気じみた同調圧力も怖すぎる。でも、もし自分がここの住民だったらどうだろう。違和感を感じても、みんなもそうしてるし…と流されそうな気もする。誘拐事件の犯人は誰なのか、なぜ一家は失踪したのか。ミステリーとしても楽しめた一方、人間の本質に鋭く迫まる内容に、読後深く考えさせられた。とにかく不快で読んでて気分悪くなるけど、ページを捲る手が止まらなかった。2023/01/24
うっちー
129
何か全編強引な気がします2022/09/22