出版社内容情報
帝国陸軍がマッカーサーより奪い、終戦直前に隠したという時価200兆円の財宝。それは敗戦を悟った阿南陸軍大臣が、祖国復興のために託した軍資金だった。
戦争は、日本人に何を残したのか。著者にしか書けない、魂を揺さぶる傑作歴史ミステリー!
内容説明
その額、時価200兆円。敗戦後の日本を復興に導くため、マッカーサーから奪った財宝を隠す密命を日本軍は下す。それから47年。不動産事業で行き詰まった丹羽は、不思議な老人から財宝の在り処を記した手帳を託される。戦争には敗ける。しかし日本はこれでは終わらない。今こそ日本人が読むべき、魂の物語。
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京都生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で第16回吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で第117回直木賞、2000年『壬生義士伝』で第13回柴田錬三郎賞、2006年『お腹召しませ』で第1回中央公論文芸賞と第10回司馬遼太郎賞、2008年『中原の虹』で第42回吉川英治文学賞、2010年『終わらざる夏』で第64回毎日出版文化賞、2016年『帰郷』で第43回大佛次郎賞をそれぞれ受賞。2015年紫綬褒章を受章。「蒼穹の昂」シリーズをはじめとする文学界への貢献で、第67回菊池寛賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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雲母
23
戦争末期の頃とバブル崩壊後の時代を行き来する様に紡がれる。序章で13歳の少女達が明るく作業に従事し、平和を説く担任が生徒等を温かく見守っている。時代は現代に変わり競馬場で崖っぷちの男は老人と出会う。老人は突然倒れ亡くなるがその前に古い革の手帳を渡す。そこには戦争終結時の生々しい記録が遺され、マッカーサーから奪った財宝を隠す密命が書かれてあった。財宝を探す宝探しの話かと思っていると全く予期せぬ方向に向かう。少女達の行方。財宝隠しに携わった人達のその後。責任の重味。戦争の爪痕。心にずっしりのしかかって来た。2021/11/26
Kei.ma
15
目映いほどの日輪への誓い。終戦間近に五人の将軍から極秘命令を受けた若い将校が、生涯をかけて忠誠を尽くすというもの。一体にこの国の人が持つ使命感とはどれほど強固なのか。防空壕の少女も、一兵の軍曹も。この物語は、終戦直前に隠匿された現在価値200兆円の謎を追うというもの。ちゃらけているようでも、膨らむ日の国を守るという尊い意識。突然現れた予想外の場面が嬉しい。それは、マッカーサーにサシで挑む小泉元中尉の台詞。アツい、これぞニッポンジン。それぞれの身体に流れる遺伝子がかの国難から救ったのだ・・・。2021/11/14
RED FOX
14
「予、報ユル言葉ヲ知ラズ。寝顔ニ向カイ、敬礼ス」終戦直前の特命を巡る、マッカーサー、GHQ、日本兵、35名の女生徒。勉強しようと思った。面白かった。2023/08/03
居酒屋めぐり
8
浅田次郎先生の歴史小説ってフィクションであるにも関わらず、本当にあった事柄のように読み進めてしまうのは私だけでしょうか? 「大東亜共栄圏」は欧米の支配から独立してアジアの経済圏を作るという 壮大な国策であったと思うが、戦いに勝つたびに見失い悪者にされていった。特に軍は分からなくなってしまったんだろう。日本の100年の近代史を学びたい。 13歳の女学生の死は悲しすぎる。2023/07/09
ラスカル No.1
6
やはり浅田次郎さんの作品には感動する。作品の構成が素晴らしい。手記と終戦後の緊迫感を伴う財宝の隠匿、またその謎に迫る今。過去と現在に登場する人々、それぞれの繋がりが見事に表現されている。亡くなった少女たちを前に立ち尽くす人々、誰も間違った選択はしていないように感じた。2022/02/11