出版社内容情報
落合 由佳[オチアイ ユカ]
著・文・その他
内容説明
家族の世話をしてくれていた祖母が亡くなり、父と、天、陽、光の3きょうだいの生活は荒れに荒れた。料理ができる人がいないから、食事は外で買ってきた総菜や弁当ばかり。このままじゃヤバいと感じていた小6の天は、ひょんなことから近所の上村商店の店主、通称「がみババ」から料理を教わることに。近所でも評判のうるさがたばあさんを師匠にむかえ、天の料理の腕はあがるのか!?
著者等紹介
落合由佳[オチアイユカ]
1984年、栃木県生まれ。法政大学卒業後、会社勤務などを経て、2016年、バドミントンに打ち込む中学生たちを描いた『マイナス・ヒーロー』で第57回講談社児童文学新人賞佳作に入選。翌年、同タイトルのデビュー作を出版した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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☆よいこ
84
児童書。タマゴも上手に割れない男子が弟妹と料理コンクールに出る話▽祖父と母が交通事故で亡くなり、家事育児は祖母がやってくれていた朝田家。ところが祖母が台所で倒れて亡くなり、父と3人の兄弟は困難に陥る。小6の長男の天(てん)はマイペースな弟の陽(はる)と偏食でわがままな妹の光(ひかり)の世話に振り回されていた。父も多忙で食卓はインスタントと惣菜ばかりでみんなイライラしていた。あるきっかけで、近所の上村(かみむら)商店の「がみバア」から料理を習うことになった天は、少しづつ変わっていく▽料理はめぐる。良本2022/08/12
がらくたどん
67
生きる事は食べる事。幼い頃に母を亡くし、家事を教えて貰う前に頼りの優しい祖母が急逝してしまった天・陽・光の3きょうだい+父の台所再生記。天兄ちゃんを弟妹のために健気にガンバル優等生に描かなかったところが児童読み物として素晴らしいと思う。彼はまず「自分が」食べたいものを作る。食べたいものを食べたいときに食べられるようになるには「自分で」作れるのが一番てっとり早いから。そして自分が美味しいものを誰かも美味しかったらそりゃあ嬉しい。道を拓き背を押す祖母の準備とがみババの仕込みが光る。覚えた料理も簡単・美味そう♪2022/08/10
よこたん
54
“料理は、あせったり、急いだりしたら失敗する。それと同じなのかもしれない。ゆっくり時間をかけなくちゃいけないことが、人の心の中にもある。” 健やかな生活を送るには、ちゃんと食べなくてはならない。ちゃんと食べるには、ちゃんと料理をしなければならない。家族は台所の要を突然失ったことで、心も身体もガタガタになってしまった。このままではいけないと、奮闘する小6の天。料理指南の、がみババが厳しいが、確かに口に入れるものを作るには責任が必要だものね。思い出の味が無事受け継がれてよかった。後片付けまでが料理、確かに。2022/05/02
chiaki
45
幼くして母と祖父を交通事故で、そして台所の主であった最愛の祖母までも亡くし、食を疎かにしがちになっていた天たち3兄妹。ある日ご近所に住む"がみババ"から料理の手解きを受けることに。偏食の妹や、トラウマを抱える弟のため、食べる人への思いを込めて台所に立ち料理を続けるうち、哀しみを乗り越え次第に喜びを感じるようになる天の前向きさにじんとしました。がみババの、背筋がピンと伸びるようなお小言や皮肉もすべてが温かくて、会いたくなります。大切な人たちの健康と笑顔を守るために私も台所の主として身が引き締まる思い。良書。2022/08/28
ケ・セラ・セラ
43
母亡き後、台所を担い家族を支えてくれていた祖母までが亡くなり危うくなっていた一家。料理の基本をたたき込み、厳しくも導いてくれる人がいて良かった。料理が人を元気づけ笑顔にしてくれる。作る人と食べる人の喜びがお腹と心を満たしてくれる。不器用ながらも家族を大切にする父親と、時にけんかしながらもぴったり息のあった兄弟妹。名言もたくさんあり、前に進む気持ちの良いストーリー。2022/04/03