出版社内容情報
語れないと思っていたこと。
言葉にできなかったこと。
東日本大震災が起きたとき、伊智花は盛岡の高校生だった。
それからの10年の時間をたどり、人びとの経験や思いを語る声を紡いでいく、著者初めての小説。
第165回芥川賞候補作。
内容説明
東日本大震災が起きたとき、伊智花は盛岡の高校生だった。それからの10年の時間をたどり、人びとの経験や思いを語る声を紡いでいく、著者初めての小説。第165回芥川賞候補作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
307
第165回芥川龍之介賞受賞作&候補作第二弾(2/5)は、候補作一つ目です。くどう れいん、初読です。東日本大震災⇒新型コロナウィルス青春譚、テーマの割には爽やかな印象です。インパクトが足りないので、受賞には至らなかったのではないでしょうか? https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003536982021/07/27
いつでも母さん
189
読み友さんお薦めの一冊。参った・・圧倒的な本音の前に私が何を書いても言っても軽くてウソくさいのだ。当事者の思いは人の数だけ色々あるのだ。レビューなど出来ない。ただ、私はあの日を忘れない。2021/12/02
みっちゃん
171
どんなに辛かっただろう、悲しかっただろう、何が自分にできるんだろう、と思っても精々募金したり、物産展の品物を買うくらいしかできない私がそんな風に思うことすら、偉そうでおこがましい、わかったふりだけしてるような自分を申し訳ない、とすら感じる。ましてや「寄り添いたい」とか「絆」とか、そんな文言をテレビで見かけるだけで目を伏せてしまう。作中の青年の「○○を忘れない」で埋め尽くされたブログは読み通すのが苦しくて堪らなかった。でも作者のあとがきには、何だか救われたようにも感じる事が出来て。この本、読めて良かった。2021/09/28
おしゃべりメガネ
164
インスタで見かけた作品で気になり、手にとりましたがボリュームの薄さとは裏腹に中身はしっかりと厚みのある話でした。東日本大震災を扱った作品で、作者さんも岩手県盛岡市出身かつ在住なので、よりいっそう震災の重みが伝わります。かといって、全体的にはシリアス感はなく、読んでいて前向きになれる作品なんだろうなと。やはり震災関連の作品は、申し訳ないのですが当事者にしかわからない、伝わらないモノがあるんだと思っています。それらを差し引いてもぜひ手にとってもらいたい、ステキな作品でした。芥川賞候補作品とは思えなかったです。2022/01/15
モルク
155
東日本大震災から10年の時を当時高校生だった伊智花を通して繋ぐ。あの時語れなかったこと、体験した人にしかわからないこと…様々な思いがこめられる。見る側、聴く側、読む側のこうあってほしいという身勝手な思い、そしてその答えにそうように、求められるようにする人々。被災地の子は希望の子、絵画や作文も元気になったり希望がもてるものでなければ…やっぱりそんなのっておかしい。やっと言うことができた著者の本音。やさしい言葉はないか、慰めるには…震災に限らず病気や他の出来事に対してきた自分の浅はかさを思い知る。2021/12/15