内容説明
人類史上最恐の頭脳。コンピュータ、原子爆弾、ゲーム理論、天気予報…現代社会の基本構造をつくった天才の栄光と苦悩。
目次
第1章 数学の天才
第2章 ヒルベルト学派の旗手
第3章 プリンストン高等研究所
第4章 私生活
第5章 第二次大戦と原子爆弾
第6章 コンピュータの父
第7章 フォン・ノイマン委員会
著者等紹介
高橋昌一郎[タカハシショウイチロウ]
1959年生まれ。ミシガン大学大学院哲学研究科修了。現在は、國學院大學教授。専門は、論理学・科学哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mae.dat
183
マンハッタン計画の中心にも居ましたからね。リミッターがぶっ飛んだ頭脳で、悪い事考えてたんじゃ無いかって思いがち。かもしんない。でも違うんだよ。デビルもサタンもデーモンも日本語では全部悪魔に訳されてしまいますからね。勘違いがあるかも。適切な訳語欲しいな。「天才は周りに理解されず、故に孤独である」みたいな事を言われることがあるかと思いますけど。ノイマンに於いてはそんな事はそんな事なかったみたいですね。自身の脳を使って考える事が大好きだったとか。どんな世界を見ていたんだろう。体感してみたいものよのぅ。2021/06/14
パトラッシュ
171
マンハッタン計画の中心人物としてノイマンの名は知っていたが、数学から物理学、経済学に至る広い分野で超人的な活躍をした実像を初めて知った。彼を知る人は己の凡才ぶりを思い知らされ、天才を超えた神か悪魔かと恐れおののいたと繰り返し記されている。あまりに多才なためアインシュタインのように単独分野で有名にならなかったが、歴史を大きく動かすため人類世界に遣わされた頭脳なのは間違いない。実際、彼がいなければ世界大戦の行方は大きく変わり、ネット社会の到来も遅れていただろう。その影響はヒトラーやスターリンよりも深く大きい。2021/09/28
ねこ
167
本書はノイマンと共に生きた同世代の数学者のことも書かれ20世紀の科学の遍歴が描かれています。読み物としてもとてもおもしろい。さすが限界シリーズ3部作の著者。フォン•ノイマンは数学者でありながら、原子爆弾、量子論、ゲーム理論、コンピュータ開発、大気モデルからの天気予報…と多岐に渡る創始者です。まさに天才中の天才!アインシュタインとはタイプの違う天才だったようです。彼の思想の根底にあったのは科学で可能なことは徹底的に突き詰めるべきだったとか。善悪は忖度せず突き進む彼がもしゲノムに手を出していたら…さてどうかな2023/10/27
trazom
129
フォン・ノイマンを取り巻く天才たちが綺羅星のように登場し面白く読んだ。フォン・ノイマンが「20世紀最高の知性」と称賛するゲーデルや、ともにコンピュータの父であるチューリングなどの、天才であるが故の人格的異常に対し、フォン・ノイマンは一見穏やかな常識人。しかし、彼の思想は、科学優先・非人道的で「我々が今生きている世界に責任を持つ必要はない」とする虚無主義だと言う。「人間のフリをした悪魔」は可哀想な気はするが、規格外の才能と自信を秘めて紳士的な振る舞いをするこういう人こそ、最も恐ろしいということかもしれない。2021/06/15
ひろき@巨人の肩
121
ジョン・フォン・ノイマンの生涯を通して彼の哲学を考察する本書。ノイマン型コンピュータの父として認識していたが、原爆開発含めそれ以外の多数の功績に驚いた。応用数学により世界を記述する天才的な実務家という印象。著者の分析通り、彼の哲学は科学優先主義、非人道主義、虚無主義から成り立ち、能力の高さ故に「ヒトのフリをした悪魔」と評された。量子力学の数学的基礎、ゲーム理論と経済行動は挑戦したい。20世紀科学史において、プリンストン高等研究所とノイマンが天才と認めた不完全性定理の提唱者ゲーデルを知れたことも収穫。2021/11/22