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内容説明
物質科学を一変させた、量子の不思議。何がそんなにスゴイのか?人類の物質観を革新する物質群、「トポロジカル物質」のしくみに詳しく迫る。そのカギは「対称性の破れ」にあり。物質の根源となる基礎的な量子現象を数学や物理学の基礎知識を前提とせずに解説。超伝導、スピントロニクス、マヨラナ粒子、そして量子コンピュータにつながる驚くべき無数の応用が将来に待っている!
目次
バーチャル空間で物質を観る
第1部 ノーベル賞に見る物質科学―トポロジカル物質への前奏曲(原子から量子物理学へ;原子から物質へ;物質は量子効果の舞台)
第2部 バーチャル空間で物質を観る―量子物理学での表現法(運動量空間とは;バンド構造―物性科学の基礎)
第3部 トポロジカル物質とは何か(仮想磁場―電場が磁場に見える;トポロジカル絶縁体とは;電子波の位相;トポロジカル物質ファミリーと応用)
著者等紹介
長谷川修司[ハセガワシュウジ]
1960年栃木県に生まれる。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修士課程修了。理学博士。日立製作所基礎研究所研究員、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻助手、同助教授、同准教授を経て、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授。専門は表面物理学、とくに固体表面およびナノスケール構造の物性(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えも
20
最新の物性物理学。前半までは、ノーベル賞の歴史や現在使われている機器の仕組みなど、興味を持って読み進められましたが、後半の、いよいよトポロジカル物質の部分がチンプンカンプン!何とか最後まで目を通したものの、基礎知識不足を通関しました。2022/08/07
bapaksejahtera
12
位相幾何学と無縁に生きてきたが、論理的な理念が現実に当て嵌りそれを基に技術が進歩したとは複素数等からも理解できる。材料科学も物質の微細構造を量子物理学を持って捉えるや常識的空間認識では通念と異なる事象が生起する。理論と実験どちらが先行したか不明だが、ある種の金属の磁性・導電性を巡って、それらが超電導や量子計算機等に飛躍的進捗が期待される。本書の対象はそれだ。前半理解のための基礎的知識確認に費やされるが半導体や光センサーなど極めて解り易い説明で、これだけでも私には満腹。後半部分の理解度と大きな落差があった。2021/08/29
寝落ち6段
11
原子の発見から、今の研究までの物質を取り扱う物性物理学の最新を追う。どうして電気は流れるの?磁石ってどうやってできているの?コンピューターってどうして演算や記録ができるの?という当たり前のことを原子や電子という超絶小さい世界から紐解いてくれる。しかし、今までの分類を違う見方で仲間分けしたとき、小さな世界では新たに違う性質をもった状態を発見できた。それがトポロジカル物質であり、現在の半導体を超えた超伝導体である。デジタル化する現代において、新たな大容量の電磁気媒体が誕生し、より便利な世になるかもしれない。2021/08/20
PenguinTrainer
7
電流とはなんぞやといった物理の話から始まり、多体問題として現在研究が進められている量子力学について書かれた本。 題名にあるトポロジー物質への言及は後半からになるが、物理学の初歩から最新の超伝導・トポロジカル物質における時間対象反転性の議論までをシームレスに解説してくれる優しい本であると感じた。2021/05/02
ろべると
6
前半2/3くらいは、トポロジカル物質を理解するための基礎知識や周辺知識の解説で、これがとても分かりやすい(知ってることが多いから当然と言えば当然だけど)。数式ではなく概念的に現象を掴むことができ、大学の講義でもこのように教えてくれれば理解が進んだのにと思った。この調子で本書購読の目的である、トポロジカル物質を理解するぞ!と思ったのだが、途端に難しくなり、なんとなくの理解で終了。甘くはなかった。繰り返し読んで理解していくしかないか。でもかなり分かりやすく説明して頂き、ありがとうございました。2021/05/01