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出版社内容情報
佐倉 統[サクラ オサム]
著・文・その他
内容説明
私たちは科学技術とどう付き合えばいいのか?
目次
はじめに 新しい科学論が必要な理由
第1章 「なぜ」「どのように」科学について語るのか?
第2章 科学の事実と日常の事実―科学技術の方法論
第3章 科学技術は誰のものか―1 近代科学の誕生以前は
第4章 科学技術は誰のものか―2 「科学のあり方」が変質していくなかで
第5章 科学知と生活知―科学技術の飼い慣らし方・理論編
第6章 「二正面作戦」を戦い抜くために―科学技術の飼い慣らし方・実践編
第7章 「今」「ここ」で科学技術を考えること
終章 科学技術を生態系として見る
著者等紹介
佐倉統[サクラオサム]
1960年、東京生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了、理学博士。現在、東京大学大学院情報学環教授、理化学研究所革新知能統合研究センター・チームリーダー。霊長類学、動物行動学を振り出しに、環境問題、人工生命、脳神経科学、放射線リスク、AIとロボットなど、さまざまな科学技術分野と社会との接点に関わりつつ、進化論の観点から科学技術を考察することが根本の関心(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
89
科学論を哲学する本だと期待すると、裏切られるかもしれない。でも、「尊大な専門家主義と傲慢な反知性主義の両方に戦いを挑む二正面作戦」が必要だとする著者の熱い思いが迸り出ていて、胸に迫るいい本だと思う。ナチスやアメリカが進めた「国家主導の科学」の時代が、今、民間主導に移行しているという。確かに、ヒトゲノム解読はベンチャー企業主導だった。でも、軍学共同システムの危険と同じくらい、科学が、商業主義に塗れ「公共」の理念を失うことに不安を覚える。ファイザー社のワクチンが届いたニュースを見ながら、そんなことを考える…。2021/02/14
やいっち
88
「科学を毛嫌いする反知性主義も、過度に信奉する権威的専門家主義も、真に科学的であることはできない。日本の科学技術力はなぜ衰退しているのか?疑似科学信仰はなぜ拡大するのか?(中略)科学の意味を問い直す、「新しい科学論」」の本。 何処までも高度化し細分化する科学。卑近な例でいえば、何か体調に異変を覚えたとする。歯や眼ならそれぞれの科へ行けばいいのだろうが、もっとつかみどころのない場合もある。大きな病院の受付で、何科を受診すればいいのか、それを自分で決める…その判断は正しいのだろうか。2021/09/23
テツ
29
科学者の方々が知性を磨き上げ努力を積み重ねた先に何があるのか。科学者も科学技術もそれそのものには何の価値もない。何かしら&何処かしらに働きかけて初めてジャッジされるものだし、社会においてどのような意味があるのか、それは人々にどのような影響を与えるのかといったことを踏まえてようやく価値が形成されていく。科学者の方々のご苦労なんてぼくには想像もできないが、自らも自らの研究も社会の中で揉まれなければ意味がないのだと自覚しながら孤独に高みを目指さなければならないなんて大変なんだろうな……。2021/12/11
ふみあき
22
文系底辺の自分が長年、敬遠していたブルーバックスだが、不惑を過ぎて初めて手に取った。笑われるだろうが、ノーベル賞の受賞決定に論文発表から15~20年も掛かるなんて知らなかった。大衆は専門家に性急に結論を求めすぎてしまう。しかも「ダニング=クルーガー効果」といって、バカほど自分を懐疑しないという、厄介な心理的メカニズムもあるらしい。かと言って、現場について無知な専門家の政策も、時に有害な場合もあるようだ。「傲慢な専門家主義」でも「不遜な反知性主義」でもない、中道的な立場こそ求められている。2021/05/15
流石全次郎
21
ブルーバックス。2020年12月20日初版。まず科学技術と社会との関係について、歴史や地域の違いなどの説明から始まって、終盤に向けては科学技術と社会の融合の必要性と課題についてわかり易く解説されていました。数限りなく存在する科学技術、その技術を政治を含めた社会貢献に結び付ける著者の俯瞰的な視線にエスコートされて空中から科学技術を広く見下ろしているようで楽しく読めました。参考文献もこれでもかと明示されています。科学技術を生態系に例えられた説明はわかり易かったです。2020/12/28