出版社内容情報
のべ4000人の元軍人らに取材を重ねてきた保阪正康氏が、昭和を代表する人物のエピソードを通じて昭和の闇=語られざる真実を語るシリーズ第2弾。本書では、田中角栄・三島由紀夫・後藤田正晴・橘孝三郎・近衛文麿・伊藤昌哉・野村吉三郎を取り上げる。
内容説明
三島由紀夫、近衛文麿、橘孝三郎、野村吉三郎、田中角栄、伊藤昌哉、後藤田正晴。7人の“怪物”は「戦争」「昭和」をどう生きたか。知られざる「昭和の真実」その謎が明らかになる。
目次
第1章 三島由紀夫は「自裁死」で何を訴えたのか
第2章 近衛文麿はなぜGHQに切り捨てられたのか
第3章 「農本主義者」橘孝三郎はなぜ五・一五事件に参加したのか
第4章 野村吉三郎は「真珠湾騙し討ち」の犯人だったのか
第5章 田中角栄は「自覚せざる社会主義者」だったのか
第6章 伊藤昌哉はなぜ「角栄嫌い」だったのか
第7章 後藤田正晴は「護憲」に何を託したのか
著者等紹介
保阪正康[ホサカマサヤス]
1939(昭和14)年、北海道生まれ。現代史研究家、ノンフィクション作家。同志社大学文学部卒業。1972年『死なう団事件』で作家デビュー。2004年個人誌『昭和史講座』の刊行により菊池寛賞受賞。2017年『ナショナリズムの昭和』で和辻哲郎文化賞を受賞。近現代史の実証的研究をつづけ、これまで延べ4000人から証言を得ている。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
125
前作を読んではいないのですが、取り上げている人物が面白そうなので読んでみました。三島由紀夫、橘孝三郎(知りませんでした)、野村吉三郎、近衛文麿、田中角栄、伊藤昌哉、後藤田正晴の諸氏が取り上げられています。保坂さんが日ごろから思われていることがこの人物を選んだことでよくわかりました。伊藤昌哉の当時の自民党について語った戦国史などはよく読んだものです。後藤田さんがいまの政権にいたらと私も思っています。2019/10/01
hatayan
60
『三島由紀夫と楯の会事件』、『田中角栄の昭和』、『五・一五事件―橘孝三郎と愛郷塾の軌跡』『自民党戦国史(池田勇人首相の秘書官の伊藤昌哉の回想記)』、『後藤田正晴: 異色官僚政治家の軌跡』など、著者がこれまで深く取材した昭和の偉人について作品では語り尽くせなかったエピソードを記したもの。田中角栄を戦後の宰相としては例外的な庶民派として評価していること、伊藤昌哉の回想記を当人と衝突しながら仕上げていったこと、護憲派の後藤田正晴を敬慕していたことなど。氏が著してきた評伝に親しむきっかけとして読みたい一冊です。2020/08/18
skunk_c
39
タイトルの「謎」に違和感を覚えたが、コンパクトな評伝として面白かった。特に最後のふたり、伊藤昌哉と後藤田正晴については、自身の手によるインタビューの成果が存分に現されている。半藤さんが「語り部」なら、保阪さんは「聴き手」なのかもしれない。田中角栄についてはちょっと好意的すぎるかな。まあ客観的な本なんてあり得ないんで、著者のバイアスを読み取りながら読み進めると、色々見えてくる部分もある。後藤田の章を読んで、『イギリス史10講』の「ステイツマン」を想起した。果たして今の日本にそのような政治家はいるのだろうか。2019/05/27
禿童子
36
たまたま今日は戦後の起点である8月15日であるが、それを意識して本書を読んだわけではない。この『昭和の怪物~』シリーズの中の白眉、田中角栄について語られているのに興味を覚えた。第五章「田中角栄は「自覚せざる社会主義者」だったのか」、第六章「伊藤昌也はなぜ「角栄嫌い」だったのか」、第七章「後藤田正晴は「護憲」に何を託したのか」はいずれも角栄に関する記述が軸になっている。2021/08/15
かんやん
33
ジャーナリストとして多くの軍人、兵士、政治家の話(四千人に達する!)を聞いてきた著者ならではの昭和史の挿話であり、人物こぼれ話。近衛文麿が痔に苦しんでいたとか、結果的に真珠湾騙し討ち(断交通告の遅延)をもたらしたワシントンの日本大使館の人間模様とか。大平正芳が教派神道の信者で、教会の教師のお告げを政治の頼りにしていたなど、ゾッとする。「君は政治がわかってない。権力者がどれほど日々怯えて過ごしているか」(伊藤昌哉が著者に語った言葉)。なるほど、そういう側面から政治を見ると腑に落ちる点もある。2023/02/01