出版社内容情報
偉大な思想家・弁論家・政治家であるキケロー。その苦難多き人生の経験と、該博な知識に裏打ちされた珠玉の二篇を一冊で読む新訳!マルクス・トゥッリウス・キケロー(前106-43年)は、共和政末期のローマに生きた哲学者にして弁論家、そして政治家として知られる。本書は、その最も人気のある二つの対話篇を定評ある訳者による新訳で一冊にまとめた待望の文庫版である。
『老年について』は、84歳まで生きてローマ政界で重鎮の役割を果たしたマルクス・ポルキウス・カトー・ケンソリウス、通称「大カトー」に二人の若者が話を聞く、という構成をとる。その二人とは、のちにカルタゴを殲滅する武人にして知識人である小スキピオ(小アフリカヌス)と、その親友で、のちに「賢者」の異名をとるガイウス・ラエリウスである。スキピオは冒頭、カトーに向かって言う。「老年があなたにとって厄介なものだという印象を一度も抱いたことがないことに、最大の、と言ってもよい驚きを覚えているのです」。ここから対話が始まり、「無謀は華やぐ青年の、智慮は春秋を重ねる老年の特性」、「青年は長生きしたいと願うが、老人はすでに長生きしている」といった名言とともに、老年をどう捉えればよいか、老いに対してどのように対処すべきか、といった実践的な知恵の数々が披露される。
『友情について』は、『老年について』に登場したラエリウスを主要な登場人物としている。そのラエリウスが、みずからの女婿にあたるスカエウォラとファンニウスの二人を相手に、社会の中で生きる人間にとっての普遍的なテーマである「友情」について語る。その中には、やはり「注意深く友人を選ばなければならない」、「友情においては地位や身分での分け隔てがあってはならない」といった役に立つ言葉の数々がちりばめられている。
これらの対話篇は、いずれも共和政を護持するための格闘に敗れ、カエサルの独裁が実現されたあとに書かれた。キケローの苦難多き人生の経験と、該博な知識に裏打ちされた珠玉の二篇を一冊で読める待望の新訳。
老年について
訳 注
友情について
訳 注
訳者解説
キケロー[キケロー]
著・文・その他
大西 英文[オオニシ ヒデフミ]
翻訳
内容説明
偉大な思想家にして弁論家、さらには激動する共和政末期のローマで格闘した政治家でもあるキケロー(前一〇六‐四三年)。その最晩年の著作のうち、最も人気のある二つの対話篇。「無謀は華やぐ青年の、智慮は春秋を重ねる老年の特性」、「注意深く友人を選ばなければならない」など、数々の名言とともに生きる知恵を伝える珠玉の古典を一冊にした新訳。
目次
老年について
友情について
著者等紹介
キケロー[キケロー] [Cicero,Marcus Tullius]
前106‐43年。共和政ローマ末期の政治家・弁論家・哲学者
大西英文[オオニシヒデフミ]
1948年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は、西洋古典学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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