出版社内容情報
日本経済はなぜ長期停滞しているのか。起業の活力もイノベーションの条件も不足しているからなのか。通説を覆し本当の可能性を探る。ベンチャー企業とイノベーションについて本書で言及する5つの論点。
・アメリカはベンチャー企業の天国ではない。アメリカの開業率はこの30年間で半減している。
・アメリカのハイテク・ベンチャー企業を育てたのは、もっぱら政府の強力な軍事産業育成政策である。
・イノベーションは、共同体的な組織や長期的に持続する人間関係から生まれる。
・アメリカは新自由主義的改革による金融化・グローバル化が進んだ結果、生産性は鈍化し、画期的なイノベーションが起きなくなっている。
・日本はアメリカを模範とした「コーポレート・ガバナンス改革」を続けた結果、長期の停滞に陥っている。
これらの実態を知ったうえで、企業が目指すべき方向とは?
第一章 日本でベンチャー企業を増やすには
あるコンサルタントの提言/アメリカの国家戦略?/自分の頭で考える/ベンチャー企業を増やしたいのか、イノベーションを促進したいのか/なぜ、シリコンバレーだけなのか/なぜ、外国人の起業を優遇すべきなのか/なぜ、「英語実戦力の抜本的強化」「(企業の)英語公用語化」が必要なのか
第二章 起業大国アメリカの真実
アメリカにおける開業率の低下/大停滞に陥っていたアメリカ/起業という幻想/生産性が低いベンチャー企業/アメリカのベンチャー企業振興策/ベンチャー・キャピタルが生まれた背景/ITも軍事政策の産物
第三章 ベンチャーキャピタルの目利き術
ベンチャー・キャピタルの投資判断/世界一シビアなベンチャー・キャピタル/リスクをとるということ/リスク計算の罠/ベンチャー・キャピタルの判断基準/人を見るということ
第四章 最強の起業家は誰か
大企業からイノベーションが生まれない理由/大企業におけるイノベーションの理由/硬直した組織がイノベーションを起こす/起業家国家
第五章 オープン・イノベーションの本質
あらゆるイノべーションがオープン・イノベーション?/クローズドな日本企業?/イノベーションが消える/オープン・イノベーションの問題点/クローズド・オープン・イノベーション/イノベーションの源泉/長期雇用/個と共同体
第六章 なぜイノベーティブな企業のほうが負けるのか
長期の競争vs短期の競争/IBM復活のからくり/「人工知能の父」の嘆き/国の成長力が弱まる/クリステンセンの嘆き/新自由主義と金融化/金融化がイノベーションを阻害する/金融化の産物としてのベンチャー・キャピタル
第七章 なぜ日本経済は、いつまでも停滞から抜け出せないのか
マイケル・ポーターの心配/短期主義をもたらした構造改革/洗脳された官僚の影響/ROE包囲網/敗戦工作の歴史/アメリカではの守/平成不況の真の原因/根の深い問題
中野 剛志[ナカノ タケシ]
著・文・その他
内容説明
アメリカに学んではいけない。アメリカの開業率は30年間で半減、シリコンバレーの成功は強力な軍事産業のおかげ、ベンチャー・キャピタルはイノベーションの役に立たない、官僚主導のアメリカ型コーポレート・ガバナンス改革が日本企業を短期主義化させた、日本経済の長期停滞はアメリカ型の企業改革・金融構造改革が本当の原因。最強の論客による経営の本質論。
目次
第1章 日本でベンチャー企業を増やすには
第2章 起業大国アメリカの真実
第3章 ベンチャー・キャピタルの目利き術
第4章 最強の起業家は誰か
第5章 オープン・イノベーションの本質
第6章 なぜイノベーティブな企業の方が負けるのか
第7章 なぜ日本経済は、いつまでも停滞から抜け出せないのか
著者等紹介
中野剛志[ナカノタケシ]
1971年、神奈川県生まれ。評論家。元・京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治経済思想。1996年東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学、政治思想を専攻。2001年同大学院より優等修士号、2005年博士号を取得。2003年、論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に山本七平賞奨励賞を受賞した『日本思想史新論』(ちくま新書)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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