講談社現代新書<br> 科学vs.キリスト教―世界史の転換

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講談社現代新書
科学vs.キリスト教―世界史の転換

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  • サイズ 新書判/ページ数 298p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062882415
  • NDC分類 201.2
  • Cコード C0222

出版社内容情報

古代以来の聖書に準拠した世界認識に180度の転換をもたらした科学による知の「革命」。知の大転換のプロセスをスリリングに描く。「天地創造は六千年前」──それが、聖書の記述こそが正当な歴史とされてきたヨーロッパにおける、古代から中世に至る長い間の「常識」でした。逆に言えば、彼らの感覚にとって、「六千年」というのは恐ろしく長い時間と見なされていたと言うことでもあります。ところが、ルネサンスおよび大航海時代の始まりにより科学的な探求が始まり、地理上の知見がこれまでになく大きな広がりを見せるようになると、様々なところで聖書の記述と齟齬をきたす事実が発見されるようになります。たとえば中国の歴史が知られるようになると、それがどうやら「六千年」よりも古いことが明らかになり、「天地創造は六千年前」というそれまでは自明と思われていた「常識」が揺らぎ始めます。また、地質学の知見によっても、地球の歴史が六千年よりも実はかなり長いのではないかと考える学者たちが現れるようになります。例えばダーウインは、当時としては大胆なことに地球の歴史を三億年前までさかのぼらせます(もっとも、この説は非難を浴び、結局ダーウインは後に撤回することになるのですが)。かくして「普遍的」と思われていた聖書をベースとした歴史(これを普遍史と呼びます)は、至る所で綻びを見せ始め、ついには深刻な危機に陥ります。神の存在の元、意味ある統一体をなしていたと思われていた宇宙は、デカルト・ニュートンによって単に機械的な運動をする物体の集まりに他ならないとされ、アダムはすべての人類の祖としての地位を失い、またリンネによって、人間も動物の一種へと「降格」されてしまいます。またその一方では、この「革命」のおかげをもって歴史が聖書から「独立」し、現在のような歴史学としての出発点を築くことにもなりました。本書では、「科学」の発展によってヨーロッパの人々の世界認識が根底から覆されてゆくプロセスを、デカルト、ニュートン、ビュフォン、リンネ、ダーウィンなど著名な科学者、哲学者から、ガッテラー、シュレーツァーなど今では忘れられてしまった歴史家の仕事なども追いながら丹念にたどってゆきます。

第一章 科学革命と普遍史の危機
第二章 啓蒙主義における自然史の形成と人間観の変革
第三章 ドイツ啓蒙主義歴史学における普遍史から世界史への転換
第四章 進化論と世界史──世界史記述におけるアダムの死


岡崎 勝世[オカザキ カツヨ]
著・文・その他

内容説明

「天地創造」は6000年前、アダムはすべての人類の祖…「常識」は、いかに覆されたか?知の大転換のプロセスをスリリングに描く!

目次

第1章 科学革命と普遍史の危機―宇宙から機械論的宇宙へ(デカルトと普遍史の危機―デカルト『哲学の原理』(一六四四)
ニュートンと普遍史の変革)
第2章 啓蒙主義における自然史の形成と人間観の変革(ビュフォンの自然史記述と啓蒙主義的世界史―『自然の諸時期』(一七七八)
人間観の変革―リンネ『自然の体系』の人間論とブルーメンバッハの修正)
第3章 ドイツ啓蒙主義歴史学における普遍史から世界史への転換(ガッテラーにおける普遍史から世界史への転換;シュレーツァーにおける普遍史から世界史への転換)
第4章 進化論と世界史―世界史記述におけるアダムの死(ハックスレーとラボック―「アダム」から「先史時代」へ;進化論と地球の年齢の問題―ダーウィンとケルヴィン卿)

著者等紹介

岡崎勝世[オカザキカツヨ]
1943年生まれ。1967年に東京大学文学部西洋史学科卒業後、同大学大学院博士課程単位取得退学。埼玉大学名誉教授。専攻はドイツ近代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ラウリスタ~

21
聖書での6000年の歴史にどうやって中国やエジプトの「長すぎる」歴史を合わせるのか、ベッドに人を合わせるのに失敗する科学史。第二次大戦が終わるまで地球の歴史は1億年程度だと考えられ(ケルヴィンの断定のせいで)てきたことを、忘れないようにしよう。ウラン、鉛による年齢確認は、原爆の後なんだよね。「現代的視点」からは「異界」にしか思えない、大真面目な「科学史」が19世紀末さらには20世紀にまで続いていることに驚く。くれぐれも当時の「科学的」言説を、現代から馬鹿にすることのないように。パラダイム転換は最近まで続く2018/02/09

こつ

16
西洋の科学史がざっくりわかったような気がします。最初のそれは結論が聖書ありきで、ほとんど個人の妄想のようで驚きました。そうやって積み重ねた結果が今の科学に繋がっているというのも不思議です。人類ってすごい。2021/09/10

Hiroshi

8
18世紀以前のヨーロッパ人はエイリアンだと。18世紀末に歴史観の転換があり、人々の生活を含めた世界が変化したからだ。特に人間・世界(宇宙像)・時間の観念の相違が重要だ。人間は地球上の生物の中で哺乳類に属するが、聖書は全ての生き物を支配する者として人を創られた。宇宙はビッグバン以降膨張しておりその中の銀河系の太陽系に地球はある。アリストテレス・プトレマイオス的宇宙は地球を中心に惑星・太陽があり、恒星の上には天使の住む原動天、神の御座がある至高天となる。時間ではビッグバンは137億年前、地球誕生は46億年前。2024/03/08

紙狸

6
聖書に忠実な歴史観「普遍史」から近代的な歴史観への移行を描く。17世紀にまだ優勢だった普遍史は、世界誕生以来の時間を6千年とした。デカルトも「神が創造して以来、五、六千年もたっている被造物」と書いた(p21)。だが、西欧人が世界各地で様々な知見を得ると、辻褄が合わないことが出てくる。中国の長い歴史は普遍史の枠組みに収まらない。地層、類人猿に関する研究も進む。普遍史が突き崩される。著者の特色は、現代科学の高みに立たず、信仰と科学のはざまで苦闘した15〜19世紀の欧州知識人の考え方に肉薄したことだ。2018/11/01

海星梨

5
近代思想史(っていったらいいのかな?)を初めて読むので1日五十頁も進まずやきもきしながら。とはいえ面白かったです。聖書の人類六千年より中国とエジプトの歴史が長いバグとか。聖書が真実という内的準拠枠を持つ人たちばかりで権威を持ってる社会で、今の歴史学がどうやってできていったかいうお話でした。2019/06/12

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