出版社内容情報
ウェブで激変する米国新聞業界。新旧メディアそれぞれの生き残り戦略とは? 改めて問われるジャーナリズムの役割を丹念な取材で追う2013年8月、アメリカを代表する高級紙であるワシントン・ポスト紙が、
アマゾンのCEO、ジェフ・ベゾス氏に買収されたことは、大きな驚きをもって全世界に伝えられた。
だが、アメリカのメディア界では近年、とくに2008年のリーマン・ショック以降、このニュースに象徴されるような激変が起こり続けている。
ワシントン・ポストのライバル、ニューヨーク・ポストの大規模リストラと、ウェブ有料化の成功、
老舗の新聞社が新聞発行をあきらめ、オンライン専門のニュースサイトへの転換、
地方紙連合による記事共有化、
調査報道専門のNPOメディア・プロパブリカが、米報道界最高の名誉であるピュリツァー賞受賞するなど、NPOメディアの台頭、大学との連携。
そして報道のやり方の変化。
そんな激動のアメリカ・メディアの世界を、ボーン・上田賞受賞記者が丹念な取材から浮き彫りにする。
ニュースを伝えるのは誰なのか? これからの報道を誰が担っていくのか?
これは日本の近未来の姿なのか……。
第1章 岐路に立つ米新聞業界
オンライン報道をピュリツァー賞審査の対象に
ピュリツァー賞受賞記者が解雇に怯える
経費も報道も三分の一の原則
広告費激減の背景
クレイグリスト
第2章 ニュースはタダか
四人に一人が職を失う時代
ウェブ上の記事閲覧をタダにしたのは失敗
世論調査「課金の妥当額は三ドル
フリーミアムという発想
紙とデジタル、両立の戦略
ワシントン・ポスト紙の「結婚」
新たなニュース消費の行方
第3章 ハイパー・ローカル戦略は生き残りのキーワードか
AP通信との契約見直し
地方紙連合の誕生
ハイパー・ローカル・ニュースサイト
「狭さ」が広告にはいい?
第4章 NPO化するメディア
「ウォーターゲート事件」取材統括の記者に会う
再建のキーワードは多様化
既存メディアの「内部破壊」
急増するNPO
「生活の質を向上させる」報道
第5章 調査報道は衰退するのか
大学を拠点にする
トレンドはデータ集積型
プロパブリカという巨人
プロ・アマジャーナリズムの実践
メディアのデータバンク化
米ジャーナリズムの生命線
大治 朋子[オオジ トモコ]
著・文・その他
内容説明
ニュースを伝えるのは誰か。激変する米メディア界をボーン・上田賞受賞の記者が描き出す。
目次
第1章 岐路に立つ米新聞業界(米コロンビア大学のジャーナリズム・スクールを訪ねる;オンライン報道をピュリツァー賞審査の対象に ほか)
第2章 ニュースはタダか(新聞不況の震源地;五人に一人が職を失う時代 ほか)
第3章 ハイパー・ローカル戦略は生き残りのキーワードか(小規模な新聞社ほど強い;AP通信との契約見直し ほか)
第4章 NPO化するメディア(米ジャーナリズムの再建;「ウォーターゲート事件」取材統括の記者に会う ほか)
第5章 調査報道は衰退するのか(地元紙がなくなっても影響はない?;大学を拠点にする ほか)
著者等紹介
大治朋子[オオジトモコ]
東京都生まれ。1989年毎日新聞社入社。阪神支局、サンデー毎日編集部、東京本社社会部、ワシントン特派員などを経て、現在はエルサレム支局長。2002年の防衛庁(当時)における情報公開請求者への違法な身元調査に関する調査報道、03年の防衛庁(同)自衛官勧誘のための住民票等個人情報不正使用についての調査報道で02、03年度の新聞協会賞をそれぞれ受賞。ワシントン特派員時代は米国の対テロ戦争の実情を描いた長期連載「テロとの戦いと米国」、米メディアの再編に関する連載「ネット時代のメディア・ウォーズ」で、10年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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