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講談社現代新書
ソーシャルブレインズ入門―「社会脳」って何だろう

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  • サイズ 新書判/ページ数 226p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062880398
  • NDC分類 361.4
  • Cコード C0247

出版社内容情報

<内容紹介>
「ソーシャルブレインズ」は、「社会脳」と訳される、いまもっとも注目のキーワードです。
世の中には、人の数だけ脳があります。複数の脳がやりとりをすることで、人間関係や社会はなりたっています。見方を変えれば、脳は、そのような、他者との関係や社会の中で、初めてその機能を理解できるものです。
「ソーシャルブレインズ」とは、そんな「人間関係や社会に組み込まれた状態の脳の機能」のことです。「空気を読んだり、がまんしたり、人とつきあう」脳の機能です。
これは、専門家でなくても自然に理解できる考え方です。しかし、これまでの脳科学では、ソーシャルブレインズに着目した研究を行おうとしても、技術的な「研究の壁」に阻まれていました。
この壁を破りつつあるのが、著者の藤井直敬氏です。斬新な実験方法の開発を行うと同時に、「脳も社会も、ハブを持つネットワーク構造であり、共通したアプローチで理解できるもの」という考え方から、この新しい分野を切りひらきつつあります。
本書は、そんな著者の描いた「ソーシャルブレインズ研究の俯瞰図」であり「脳科学者が何を考えながら研究しているかを率直に綴ったノート」でもあります。やわらかな感性と冴えた知性、そして、毎日出版文化賞(前著『つながる脳』NTT出版)を受賞した魅力的な文章で語る、「新しい脳科学の時代」を告げる入門書です。

<目次>
第1章 ソーシャルブレインズとは何なのか?
脳はどうやって機能を拡張してきたのか?/ひとりきりの脳はどこまで脳なのか?/お茶とケーキに手を出しますか?/社会的ゾンビ/「空気」とゾンビ/脳の自由度について考える/透明人間になったのび太/創造性との関係/ハブという考え方/脳と社会と階層性ネットワーク……
第2章 これまでのソーシャルブレインズ研究――顔、目、しぐさ
顔はなぜ特別なのか?/脳はどのように顔を認知するのか?/目の力/しぐさの力/ミラーニューロンの意義と問題/自他の境界/仮想空間の腹腕/コミュニケーションとタイミング/鏡の中の自分は誰?/脳の中のペプシマンと身体イメージ/他者認知のしくみを読み替える……
第3章 社会と脳の関わり――「認知コスト」という視点
ミステリで考えてみる/ミーティングで携帯を頻繁にチェックする部下/社会的駆け引き/頑固なサル/ルールと脳について考える/9・11のあとにアメリカで感じたこと/アイヒマンの発言「私は命令に従っただけだ」/ミルグラム実験/スタンフォード監獄実験/人は何でもやりかねない/脳と社会と倫理……
第4章 僕はどうやってソーシャルブレインズを研究しているか
第5章 ソーシャルブレインズはそもそもどこにあるのか?
キーワードは「関係性」/まず二頭のサルで考える/何でもかんでも記録する「多次元生体情報記録手法」/ECoG電極の試み/消えないコーヒーメーカー/脳内ネットワークの関係性をどう記述するか/「あの二人はつきあっているの?」/脳科学研究の革命
第6章 ソーシャルブレインズ研究は人を幸せにするか?――幸せとリスペクトの脳科学
脳科学が個人にできること/赤ちゃんとお母さんの関係/無条件で認めてくれる存在/リスペクトからはじまる/母子間コミュニケーションからソーシャルブレインズへ/ソーシャルブレインズ研究のこれから


藤井 直敬[フジイ ナオタカ]
著・文・その他

内容説明

「空気を読む」「人とつきあう」脳のしくみとは?「自己と他者の脳が作る社会を前提として、その社会に組み込まれた状態の脳のしくみをとらえる」という考え方。

目次

第1章 ソーシャルブレインズとは何なのか?(脳はどうやって機能を拡張していたのか?;脳の性能を高める二つのやり方 ほか)
第2章 これまでのソーシャルブレインズ研究―顔、目、しぐさ(顔はなぜ特別なのか?;脳はどのように顔を認知するのか? ほか)
第3章 社会と脳の関わり―「認知コスト」という視点(ミステリで考えてみる;閉じた社会への外来者 ほか)
第4章 僕はどうやってソーシャルブレインズを研究しているか(ソーシャルブレインズはそもそもどこにあるのか?;キーワードは「関係性」 ほか)
第5章 ソーシャルブレインズ研究は人を幸せにするか?―幸せとリスペクトの脳科学(脳科学が個人にできること;赤ちゃんとお母さんの関係 ほか)

著者等紹介

藤井直敬[フジイナオタカ]
1965年、広島生まれ。東北大学医学部卒業。同大医学部眼科学教室にて初期研修後、同大大学院に入学、1997年、博士号取得。1998年よりマサチューセッツ工科大学にて研究員。2004年、帰国。理化学研究所脳科学総合研究センター象徴概念発達研究チームを経て、現在は、同研究所同研究センター適応知性研究チーム・チームリーダー。主要研究テーマは、コミュニケーションと社会脳の神経機構の解明。著書に『つながる脳』(NTT出版、毎日出版文化賞)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

月をみるもの

15
習慣は、新しい状況における認知コストを劇的に下げるって言うのに納得。「自由」はとってもめんどくさいのだ。有名なスタンフォード実験にはいろいろ疑義がつけられてるみたいだけどミルグラムのほうは大丈夫なんだろうか https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%89%E7%9B%A3%E7%8D%84%E5%AE%9F%E9%A8%932020/02/06

サイバーパンツ

15
自己と他者の脳が、たくさん集まって、相互に社会を作り上げていくというのがソーシャルブレインズである。要は、複雑ネットワークの脳科学版って感じですね。あと、ミラーニューロンはもちろんのこと、認知コストとか、リスペクトとか、著者なりの面白いタームも出てきて、なかなか興味深い。が、まだあまり研究されてる分野ではないので、超入門って感じでした。社会学とか複雑系とかとも絡められると思うので、これからの研究に期待。2016/08/02

白義

15
人はなぜ社会の中で空気を読み、保守的になるのか。権威により倫理的制約を失うのはなぜか。そうした社会的な問題に、脳という物理的基盤からアプローチできるかもしれないよ、という本。まだはっきりソーシャルブレインという分野が固まったわけではなく、脳科学と社会心理学や文学を繋ぐ学際的な領域の導入的な本。脳と社会のネットワーク構造の相似、視線認知や顔認知など各論から面白い方向を切り開きかけているが食い足りなさが。人間の非倫理的側面、社会的な邪悪さが種として脳に根があるのかもしれないというのは重要2013/10/26

KAKAPO

15
ソーシャルブレインズとは「脳が社会に直面したときにいかにふるまうか」という意志決定の仕組。私達の行動の評価は、どこまで注意深く未来を読んでも、結局のところ最終的に相手が私達のふるまいをどのように感じるかに依存するという特徴がある。私達の行動は、理屈ではうまく説明できないような見えない条件に影響を受けている。社会的な影響を与える他人や環境などの条件は、各個人がそれぞれ独自に持っているものであり、絶対的なものではない。自分を照らして、社会を照らす手段としての科学を目指すのがソーシャルブレイン研究なのだ。2010/06/10

ちゃんぐ

9
良書。ソーシャルブレインズを理解するということは、コミュニケーションのメカニズムを理解し、他者との関係性を最適化するメカニズムを明らかにすること(本文より)。昔コミュ障だった著者が「コミュニケーションとは何か?」を脳科学の分野から明らかにしようとする学問の入門書。豊富な示唆とちょっと変わった視点が想像力を掻き立てる。満員電車の中を脳ミソだけがプカプカと・・。リスペクト(無条件な存在肯定)が作る好意的な社会的文脈が認知コストを下げるとか。コミュニケーションの謎が解明されれば戦争は無くなるんじゃないだろか。2018/08/21

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